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永続する葬儀社になるための人材育成・採用戦略

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2021.10.12

永続する葬儀社になるための人材育成・採用戦略

2.葬祭業における人材育成の仕組み

前回は葬祭業界における人材育成の重要性をお伝えし、スキル育成とマインド育成の両軸が必要であることをお伝えしました。

葬儀業界では、仕事の忙しさが読めません。大まかには冬が繁忙期になり、比較的暖かい時期が閑散期になるという傾向はあるものの、急に忙しい夏もあれば、まったく暇な夏もあるというくらい、毎年同じような動きにはなりません。
そのため極端に忙しくなったり、逆に極端に暇になったりということが発生することは珍しいことではありません。そしてそういった時こそ人材育成レベルが試される時だといえます。
特に極端に忙しくなった時には、スキル育成の面で大きな差が出ます。

その会社の1か月当りの受注件数の最大値は、担当ができるスタッフの人数で決まります。担当専任制を採っている会社であれば、1人当たりの1か月の受注件数の目安は5件。担当者が5人いれば、その会社は25件までは難なく対応できるはずです。ですが、30件を超えてくると仕事が重なり、一部のスタッフに長時間残業が発生したり、最悪の場合クレームも発生します。特に、表に出ないいわゆる「サイレントクレーム」と言われるものが実際に発生している現場を見たこともあります。これは結果として会社の成長に歯止めを掛けます。ですから会社としては30件を余裕で受けることのできる体制をいち早く作らなければなりません。この体制づくりに半年かかるのか、1年なのか、それとも2年かかるのかで会社の成長は大きく変わります。そしてその違いを生むのがスキル育成のレベルです。

つまり、スキル育成のレベルは、葬儀の最大受注件数の上限値に大きく影響し、如いては会社の成長スピードにまで影響を及ぼすのです。

スキルアップをどのように仕組み化するか

Business personal development. Growth arrows and businessperson icons. Stacking wood blocks on table.


スキルアップの観点から考える人材育成とは、いかにスピード感を持って戦力化できるかが重要となってきます。ここでは、早期に戦力化し、かつ高い満足度も実現することで来ている葬儀社が実施している取組を3つご紹介します。

①動画マニュアル
これは業務内容を細分化し、動画によってマニュアルにすることです。例えば、搬送業務、枕飾り、納棺、打ち合わせ等、お葬式の最初から最後までを分解し、それぞれの項目で動画を作成します。動画にすることでより業務がイメージしやすくなり、隙間時間にスマホ等で確認することも可能です。繰り返し見ることが出来るためにスキルアップのスピードが上がります。またこのマニュアル作成においては、先輩社員が基本的にモデルとなります。実は知らないところで人によってやり方が違うということはよくある話です。人によっていうことが違う状態は、早期成長を妨げるものになります。動画マニュアルの作成は、社内業務の標準化という観点でも有効です。

②社内検定
先ほどの動画マニュアルの項目と連動し、社内検定を設けることも効果的な取組と言えます。検定というタイミングを設けることで、育成する側、また教育を受ける側にも明確な「目標」が出来ます。単なる「担当者デビュー」という大きな目標ではなく、そこにたどり着くための目標を細かく区切ることで、しっかりと成長を実感しながら進んでいくことが出来ます。

またこちらも重要な点は、一度合格したらOKという状況にしないことです。

実際に見積対応に合格したメンバーが翌年に同じ検定を行ったところ、まったくできていないという状況が分かったこともあります。いつの間にかに仕事が惰性になってしまっていた、また自己流になってしまっていた、そんなことを防ぐためにも、定期的に検定を行うと良いでしょう。

③育成計画書
そして最も重要なことが、入社したそれぞれのメンバーに対しての育成計画書を作ることです。人には誰しも得意不得意があります。長所も違いますし、覚えるスピードも違う。

つまり、1人1人の育成計画が同じであることが、必ずしも良いとは言えないということです。
これを実際に体現している葬儀社では、入社後育成担当者がしっかりとマンツーマンでフォローしながら、育成計画書を2人で決めていきます。
その中で何月に検定を受けるのか、何月に担当者としてデビューを目指すのかを決めます。その目標を、社長を含め上長と共有しながら全体でサポートを行っていきます。

これらはほんの一部の仕組みですが、このような取組を行っていくことで、スキル面の向上は目に見えて高まっていきます。

会社の基礎力を高めるマインド育成

成長スピードを高め、急に忙しくなった時の対応レベルに差が出てくるのがスキル育成の差であることを述べました。一方で極端に暇になったときにも人材レベルによって動き方に差が生まれます。

通常時の半分ぐらいのお葬式しかない、こんな月はどんな会社にも経験があるのではないでしょうか。ある葬儀社にて、こんな質問をしてみました。「お葬式件数が少なかった分、何かできましたか?」と。ですが、特にこれといって新しいチャレンジが出来た形跡がありません。

本来は時間が空けば、ポスティングの枚数が増えていたり、社内研修に時間を費やすことが出来たり、またはイベントの企画や準備が進んでいてもおかしくないものです。

ですが、これができる会社とできない会社があります。これはスキルの問題ではありません。むしろ考え方の問題であり、これを私は「マインドの標準値」と呼んでいます。

生産性を意識した仕事をしているか、従業度が高く緊急度が低い仕事への意識が高いのか、そういった仕事に対する考え方の影響が大きくでてくるのです。
実際に「マインドの標準値」を高めるための取り組みを行っている葬儀社の事例をご紹介します。

①Valueディスカッション
これは会社が大切にする価値観を社内に浸透させるための取組です。価値観の浸透においては、最も重要な時間が「考える時間」を持つことです。その「考える時間」を多く持つことで従業員は、その価値観を理解していきます。
ある会社では、毎月1回集まった際に、その会社の行動指針の一つをテーマに、全従業員が3分間スピーチを行うという取組を行っていました。
初めのうちこそ後ろ向きの発言もあったり、3分も話すこともできず1分で終わってしまうような人もいた中で、半年も続けると話す内容も変わり、そして仕事に取り組む姿勢も変わってきたといいます。自分の言葉で考える時間を繰り返し持つことで、その理解度が高まったのです。

②表彰制度
表彰制度では、その項目づくりによって会社が大切にしていることが従業員に伝わります。単価や担当者の売上を表彰する会社は、担当者における「売上」が重要項目と言えるでしょう。

リピートや指名施行数を表彰項目にしている会社もありました。それは、顧客満足や固定客化、お客様とのコミュニケーションを大切にしていることの表れでもあります。会社が大切にするValueと連動させている会社もあります。それぞれのValueを誰が一番実践できているかを社員投票で表彰する。MVPとして会社の価値観を一番実践できている人に社長推薦で表彰する。これらの実践によりマインドは大きく高まっていきます。

③経営方針発表会
これは多くの会社が行っていることではありますが、やはり重要度が高いものとして経営方針発表会の実施は欠かすことが出来ません。

ここで大事なことは、実施することではなく、その中身です。そこで「未来」が語られているかどうか、経営方針発表会においてはそれこそが最も重要です。直近の報告や翌年の計画だけではメッセージとしては弱くなります。
5年後、10年後、会社はどんなことを目指し、またなぜそれを行うのか。その未来に従業員は共感し、それがやりがいの源泉となります。しかし一方で、未来を語ったものの、毎年内容が変わってしまうと、それは社員にとってマイナスにしかなりません。「結局、口だけだから」となってしまっては、マインドは決して上がることはないのです。
ですから、微調整はしても、そこに向かって進んでいくことはもちろん必須です。実際にこういった未来をしっかりと社員に届けている葬儀社では、その未来の事業に共感し、その責任者を目指し頑張っているスタッフもいるほどです。そして年を追うごとに確実にその事業に向けて進んでいます。その姿を見せることで、経営方針発表会に伝える未来の姿は、

より真実味の高いものとなり、それが社員一人一人のマインド育成にもつながっていくのです。

マインドの標準値を高める事とは、つまり会社への理解度、共感度を高めることと同等です。なぜこの会社があるのか、なぜこの仕事があるのか、といった考え方が深まるほど、通常の仕事に対する姿勢が変わってきます。

このように人材育成においては、スキル育成の観点とマインド育成の観点と、両方の視点がとても重要なものになるのです。

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次回は、マインド育成が企業成長にもつながるその理由を具体例を挙げてお伝えしします。

月刊フューネラルビジネス8月号掲載

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