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永続する葬儀社になるための人材育成・採用戦略

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2021.10.12

永続する葬儀社になるための人材育成・採用戦略

3.マインド育成が企業の成長を促進する

前回は人材育成をスキルとマインドの両面から考え、スキル育成、マインド育成の具体的な手法をお伝えしました。今回は、マインド育成が企業の成長につながるのかを考えてみたいと思います。

企業成長においてなくてはならない要素が「生産性」の向上です。これは従業員1人が1時間当たりどれだけの付加価値を生んだかという指標ですが、これが高ければ高いほど企業は強くなります。

生産性は、本来2人でやっていた仕事を1人で行なうことや、2時間かけていた仕事を1時間で終えられるようになることでその数字を高くすることができます。デジタル化が大いに活躍する分野で、デジタルをうまく活用することで人手を使わずに業務スピードを高められます。日本においては働き手がどんどん少なくなっていくなかで、デジタルを活用した業務効率化は、なくてはならないものといえます。
とはいえ、そもそも葬祭業界においては、デジタル活用を検討する前に、簡単にできる生産性向上の取組みがあります。葬祭業界の特徴は前回も述べたように、いつ仕事が入るかわからない、仕事の忙しさの波が激しいということです。

葬祭業において、生産性を下げるいちばんの要因は、この暇な時間の動き方にあります。逆に言えばこの暇な時に付加価値を生み出す仕事ができればそれだけで生産性は上がります。

では、どうすれば暇な時間ができた時に生産性の高い動きができるのでしょうか。暇な時間にやるべき業務をあらかじめ準備しておき、空いた時間にやってもらうということはもちろん有効です。ですが、一番の理想は、毎回指示をすることなく、従業員が自主的に生産的な動きができるようになることです。それを実現することために必要なことが、まさにマインド育成であると言えます。

ある葬儀社の事例をお伝えします。この会社では、少し時間ができると社員はすぐにポスティングに出かけていきます。この会社の社長は、「1件のお葬式を担当するのと同じ、もしくはそれ以上に、1件の事前相談をいただけることの価値はある」と事あるごとに話しています。

だからこそ、お客様とつながるための仕事をすることの価値を社員全員が理解し、いつでもすぐに行動することができる組織が形成されています。これが当たり前のようにできてくると、無駄な時間がどんどんなくなり、そして生産性も高まっていき、企業の成長につながっていきます。


生産性アップのコツ

ここで生産性にももう少し深く触れておきたいと思います。先ほども述べたとおり、今はDX(デジタルトランスフォーメーション)がいたるところで叫ばれ、生産性向上のためのツールとして活躍しています。また生産性を高めるための方法として、分業専任制への移行というものも最近はよく耳にするようになりました。これらは確かに生産性を高める方法論として有効です。ですが、これらも導入の仕方を間違えてしまえば、逆に生産性を下げる可能性もあるので要注意です。

DXとは、読んで字のごとく、デジタルに形を変えることです。労務関係をはじめ、顧客管理や情報共有など、あらゆる場面でデジタルの力が生産性を向上させていますが、これらはあくまでアナログでやっていたものをデジタルに形を変えるのが最初の一歩です。たとえば働き方の適正化や顧客管理、社内の情報共有がアナログの状態でもまったくできていなかった会社が、デジタルを導入したからといってできることはまずありません。

分業専任制においても、どんな企業でも当てはまるものではありません。施行件数がまだまだ少ない状況のなかで役割を分けた組織をつくってしまうと、必要以上に人手がかかります。結果として早い段階での分業専任制への転換は、生産性を落とす結果となります。

重要なことはDXにしろ、分業専任制にしろ、体制を移行する前段階で生産性が最大化できていることが大前提であるという点です。マルチタスクによって仕事の幅を広げる、暇な時に生産的な動きが自然とできるようなマインド育成を行なう、こういったことが当たり前にできてこそDXや分業専任制がより活きてくるものと言えます。(※図1)

今すぐの成果に直結しない仕事に時間を割けるか

もう一点、生産性向上の観点で注意する点があります。1時間あたりの付加価値を示す人時生産性は、粗利額を総労働時間で割ることで算出されます。ですから粗利額を最大化するか、もしくは労働時間を最小化することで生産性向上は実現できます。ですから仕事が極端に暇な時、積極的に休みを取ってもらう、シフト調整によって生産性を高めることは可能です。ですが、ここには注意が必要です。確かに一時的に生産性は高い数字を示しますが、これでは企業成長にはつながりません。仕事の量に応じて、人を調整しているだけで、会社としての地力がついていないからです。

このような時に緊急度が低く、重要度が高い仕事に時間を割くことが出来るか、それがその後の成長につながるかどうかの違いとなります。先ほどのポスティングの事例のように、未来の仕事をつくる行動や教育等の人材価値を高める時間に使う。一時的には生産性が落ちたとしても、ここにしっかりと時間を割く。そのこと自体がマインド育成にもつながり、さらに永続的な企業の成長にもつながっていきます。(※図2)

マインド育成の一丁目一番地とは?

マインドの育成においていちばんに目指すべきところは、1人ひとりが経営者意識をもつことにあります。経営者は、売上げの最大化、費用の最小化を常に考えるとともに、長期的な経営ビジョンをもち、目標に向かって進むことが必要不可欠です。従業員1人ひとりが、短期的視野ではなく長期的な視野をもち、高い利益意識をもつことができたら、これほど素晴らしいことはないでしょう。

とはいえ、そのような人材を一朝一夕に育成することはできません。会社に入社し、基礎的なことから一段一段ステップを重ねることで、そのようなマインドが醸成されていきます。

では、経営者意識を育んでいくうえでの一丁目一番地、つまりスタート地点はどこにあるのでしょうか。

結論から申し上げると、それは「仕事のやりがい」を感じる機会をもつことです。具体的にはお客様からいただける「感謝」にどれだけ早く接することができるかが初期のマインド教育においては最も重要です。

先日、新卒で葬儀社に入社して1年が経った社員さんから仕事のやりがいについてお聞きする機会がありました。その方は、「いまがとても楽しい。会社に行く時間が楽しみで仕方ない。」と話されていました。「入社したばかりの1年前はどうでしたか?」と聞いてみると、当時は仕事をするということ自体にも後ろ向きの気持ちが大きかったそうです。

この変化はどのようにして生まれたのか。この会社では、早期育成プログラムを準備しており、入社して成長が早い子では3か月、遅くとも6か月くらい経つと葬儀の担当をもちます。最初は先輩社員に聞きながらも自身が責任者としてお客様とやり取りする機会をもつようになります。その結果、お客様からいただく「ありがとう」の重みを体感できます。それが大きなやりがいとなって驚くほど仕事に前向きに取り組めるようになります。そしてこの社員さんはいまでは、葬儀施行の仕事だけではなく、採用活動や広報活動にも意欲的に取り組んでいます。まさに生産的な活動に時間を十分に費やすことができています。

仕事のやりがいを早期に体験してもらうことによって、マインドはしっかりと高まり、生産性向上につながる。結果として企業成長にもつながる好循環が生まれていくのです。

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次回は、企業成長に欠かせない「幹部育成」について、事例を踏まえてお伝えします。

月刊フューネラルビジネス9月号掲載

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