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地域に選ばれる葬儀社になるためのブランディング戦略

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2021.05.29

地域に選ばれる葬儀社になるためのブランディング戦略

死亡者数増加と共にずっと成長を続けてきた葬儀市場。
しかし単価の減少の影響もあり市場規模自体は横ばい(2018年成長率101%)と、
ピークを迎えた葬儀業界。

その中でさらなる成長を遂げていくために、これから益々重要となるものが「ブランディング」です。
今回は、葬儀社におけるブランディング戦略についてまとめました。

<この記事を書いた人>
つむぎ株式会社 代表取締役社長 前田亮。静岡県立清水東高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。エンディング業界の立ち上げを行い、以降100社を超える葬儀社の支援を行ってきた。チームリーダー、グループマネージャーを得て、35歳で部長となる。「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」をフィロソフィーに掲げ、2020年独立し、つむぎ株式会社を創業する。

INDEX

1.ブランディングとは何か?

とはいえ、ブランディングとは何でしょうか?
まさに「ブランドを浸透させるための活動」なのですが、
そもそもブランドという言葉に定義が必要です。

ブランドと聞くと、グッチやルイヴィトンといった商品、
車でいえばフェラーリ、時計でいえばロレックスなど、いわゆる嗜好品がイメージされます。
一方で、ユニクロのような低価格な洋服もしっかりと「ブランド力」がある商品
として名前を挙げても違和感はないはずです。

グッチやヴィトンのバッグはその商品を一目見たらわかります。
フェラーリもあの赤い色をみたらすぐに連想されるのではないでしょうか。ユニクロも同様です。

ロゴや商品を見てすぐにわかる状態。
それはある意味ブランドが出来上がった状態。
そこまでいかなければブランド力があると言えないかといえば、私はそうは思いません。

では、結局とのところブランドとは何なのか。
私は、それは「選ばれる理由」であると考えています。

グッチにしろ、フェラーリにしろ、そしてユニクロにしろ、
ブランドがある商品を買い続ける人というのは、
その商品の「何か」が好きで、共感して、購入し続けています。

つまり、消費者にとっての明確に「好き」な理由、「共感」される理由を創る事、
磨くことがいわばブランディング活動と言えます。

2.「選ばれる理由」を持つ葬儀社がこれから益々重要になる理由

とはいえ、ブランディングとは何でしょうか?
まさに「ブランドを浸透させるための活動」なのですが、
そもそもブランドという言葉に定義が必要です。

ブランドと聞くと、グッチやルイヴィトンといった商品、
車でいえばフェラーリ、時計でいえばロレックスなど、
いわゆる嗜好品がイメージされます。
一方で、ユニクロのような低価格な洋服もしっかりと
「ブランド力」がある商品
として名前を挙げても違和感はないはずです。

グッチやヴィトンのバッグはその商品を
一目見たらわかります。
フェラーリもあの赤い色をみたら
すぐに連想されるのではないでしょうか。
ユニクロも同様です。

ロゴや商品を見てすぐにわかる状態。
それはある意味ブランドが出来上がった状態。
そこまでいかなければブランド力があると言えないかといえば、
私はそうは思いません。

では、結局とのところブランドとは何なのか。
私は、それは「選ばれる理由」であると考えています。

グッチにしろ、フェラーリにしろ、そしてユニクロにしろ、
ブランドがある商品を買い続ける人というのは、
その商品の「何か」が好きで、共感して、購入し続けています。

つまり、消費者にとっての明確に「好き」な理由、
「共感」される理由を創る事、
磨くことがいわばブランディング活動と言えます。

このブランド力=選ばれる理由を高めることが、
これからの葬儀業界において益々重要になります。

最初にもお伝えしたように、葬儀業界の市場規模はほぼピークになりました。
これから単に営業を続けるだけで企業が成長する時代は終わりを迎えています。

一方でインターネットからの葬儀は、これからも益々増えていくはずです。
これだけインターネットが当たり前になり、
スマートフォンが生活と一部となる中で、
この市場が同じように成長が留まるとは到底考えられません。

さらに、これからM&Aも益々進むでしょう。
葬儀業界が買収先として価値が高い時代もピークを過ぎました。
つまり買収金額が低くなっていきます。
資本力のある企業は、どんどんM&Aを加速させます。

何億というお金を使って会館を作り、新たにエリアを営業活動によって開拓する。
それよりももともとその地にあった葬儀社を買収してしまう、
その方が早いとM&Aを考える企業がいることも、
これも何ら不思議なことではありません。

つまり、市場はピークである一方、競争はまだまだ続くわけです。
しかも相手はネットだったり、大手資本の企業なのです。

「安さ」で戦えば、インターネットの葬儀が強い。
そこの下をかいくぐって安さ訴求をすることもできますが、その必要性はあるのか?

「豪華さ」には資本力を持つ企業がやはり強くなる。
そしてこれまでも葬儀社選択の一番多い理由でもあった「近いから」という点も、
資本力がある会社が出店攻勢をかけてくれば、安泰ではありません。

値段や距離、建物ではない、

「私は〇〇葬儀社が好きだから、そこでお葬式をしたい」

と言ってもらえること。
そんな葬儀社になっていかなければ、どんどん施行件数は落ちる一方になってしまう可能性があるのです。

3.期待値を超える「アットホーム」によってお客様から選ばれる葬儀社

ブランディングが出来ている、まさにお客様に選ばれる理由が作られている
葬儀社の事例をご紹介します。

その会社は、『かけがえのない想い出に「さよなら」ではなく「ありがとう」を』というMissionを掲げ、
「アットホーム」をコンセプトとしながらお葬式やサービスを展開しています。

従業員に話を聞いても、「アットホーム」という言葉がかなり根付いており、
「どうすればもっとアットホームを実現できるのか」が判断基準ともなっています。

そんな思いはお客さまにも届いています。

あるお客さまは現社長の名前や年齢は
もちろん会長や創業者の名前まで知りたいと聞いてくれました。

また違うお客さまは、年を取られて積極的にイベントに協力できないことを、
それだけを謝るためだけにある日、来店してくれたといいます。

またご葬儀のお手伝いをさせていただいたお客さまは、大変そのお葬式に感動され
担当のスタッフとの記念写真を希望された。

「アットホーム」なお葬式・サービスは、お客さまに形となって伝わり、
お客さまはこの会社の考え方に共感し、圧倒的なファン客として育っています。

このお客様たちは、仮に近くに豪華な葬儀式場が出来たとしても、
まったく浮気することもなく、
この会社でお葬式をあげてくれるはずです。

これからの葬儀社においては、こういった信者客ともいえるお客様の数がより重要になってきます。

4.ブランド力を磨きあげるために

「選ばれる理由」を磨きあげるために何をすればよいのか。
企業戦略として考えるべきことは、まさにCI戦略です。

CIとは、Corporate Identity(コーポレート・アイデンティティ)の略で、
まさに企業の独自性を高めるための取組です。
CI=ロゴといったようにとらえられてしまうこともありましたが、
この独自性を高める活動には大きく分けて4つのステージがあります。

①大切にする「考え方」を決める事(Mind Identity : MI)

いわゆるビジョンやミッション、バリューといった企業の「考え方」にあたる部分です。
企業活動において、様々な判断をすることがあります。
それは投資に関するものから人材育成に関する現場の話まで様々です。
その判断の「基準」となるものが、ここでいうMIになります。
これがしっかりと固まっていないと、
全ての判断がバラバラに行われ、従業員にとっても、
またお客様から見た時も何も統一されていない企業に見えます。
それでは、選ばれる理由が磨かれることはありません。

②どんな事業をするかを決める事(Domain Identity : DI)

これは事業ドメインを決める、つまりどんな事業を展開するかという部分です。
企業としては、儲かる事業にとにかく参入する、という選択もあるでしょう。
一方でそれは「何のために」が見えません。
選ばれる理由を磨くためには、「共感」が重要な点であることを考えると、
判断軸を持った事業展開であることがベターです。
つまり、MIを基準とした事業を展開すること、それが大切になると言えます。

③伝え方を統一する(Visual Identity : VI)

ここでロゴやパンフレット等の広告物、
ネーミングといった外に発信するものが重要になります。
多くの商品を喚起させるものは、
消費者と接点を持つVI活動がとても重要です。
ただし、VIにおいても重要なことが、
しっかりとMIと連動しているかどうかです。
例えば、ビジョンやミッションといったものに
「感動」という言葉を掲げている会社が、
広告物では赤と黄色が強い“安さ”訴求をしていたらおかしいですよね。
もちろん価格訴求をすることは、
お客様に選んでもらう理由としては大きな要因です。
ですが、MIとVIが連動していないと、
選ばれる理由を「磨く」ところには至らないのです。

④従業員の行動やコミュニケーション指針を決める(Behavior Identity: BI)

その上で企業内での品質をどこに定めるか、社内の教育研修の在り方、評価制度、
そしてお客さまとのコミュニケーション指針といった、
行動部分の考え方を固めていきます。

もちろんこれもMIに連動して作られていきます。

こうやって会社の考え方を中心に、
事業、伝え方、行動を統一、さらに徹底することにより、
その考え方がお客様の共感を生み、
「選ばれる理由」が磨かれていくのです。

5.ビジョン、ミッション、バリューをリブランディングする

これまで100社を超える葬儀社様とお話をしてきた中で、
それぞれの会社で様々なビジョンやミッション、バリューがありました。
葬儀という業界の特性もあり、
「感謝」「ありがとう」「感動」といった言葉はよく目にします。

よく目にするから違うものにした方が良いかと言えば、そんなことはありません。
大事なことはそのビジョンを本気で目指すことができ、
そのミッションを本気で追求できるかどうかです。
ビジョンやミッションそれ自体が、他者との差別化になるのではなく、
その浸透度合いこそが差別化になるのです。

ですが、ビジョンやミッション、
バリューにおいても見直すことは意味があります。
特にここ数年、葬儀業界も事業承継のタイミングとなり、
経営者が交代しています。
先代が作ったビジョンやミッションについては、
再度見つめなおす必要があります。

それは必ずしも変えようという意味ではありません。
改めて、ビジョンやミッションについて深く考える時間を持つ、
時には従業員を交えてディスカッションを行う、
その中で本気で目指せるものにしてくということが大事です。

特に、葬儀業界は転換点を迎えています。
業界が成長期にある中で、積極投資で成長を続けてきた先代と、
これからの時代を冷静に見ながら経営を行っていく後継者とでは、
大切なことが違ってきても全くおかしなことではありません。
会社の判断軸として大切にするものだからこそ、
改めて考え直すということも非常に重要なことです。

実際にリブランディングを実施している葬儀社では、有志のメンバーを集めて、
ビジョンやミッション、バリューを一つずつ見直しています。
「なぜこのビジョンを目指すのか?本当にこのビジョンでいいのか?」
「ミッションとして掲げるのは、この言葉でいいのか。
今やっていることと違いはないのか?」
「私たちが大切にしている価値観はこれでよいのか?
もっと加えた方が良いものはないか?」
など、様々な議論を行います。

その過程の中で、中身が変わることもありますし、変わらないものもあります。
ただ議論をすることで、再度後継者や従業員の意識は高まっています。

6.「何をやるか」よりも「どのようにやるか」が重要

少し前までは、「家族葬」に特化することも他社との差別化になり、
それ自体がお客様に選ばれる理由になっていました。
しかし今では家族葬自体は一般的となり、
それを強く打ち出したところで大きな差別化とはなりません。

生花やギフト、料理を内製化することで利益率を高めるということも一つの差別化でもありました。
ですが、それもまた珍しいものではなくなっています。

家族葬にしろ、内製化にしろ、これから大事なことは、
「それらを通じて何を伝えるのか?」
それに尽きます。

「感謝」という言葉を大事にしている会社であるならば、
家族葬の中でどのようにして「感謝」を形にするのかを設計する必要があります。
ご遺族から故人へ、故人からご遺族へ、スタッフからお客さまへ、会葬者へなど。
感謝の方向は様々なです。この感謝を形にしていくのがMIを商品の中に落とし込むということです。

これは生花やギフトも同様です。
単に利益率を重視したサービスではなく、生花を通じて何を伝えるか。
ギフトを通じて何を伝えるか。
それができる事こそが内製化の強みであり、これからの差別化の在り方になるのです。

7.アウターブランディングとインナーブランディング

先に述べたようなことを実現する上で重要となることがインナーブランディングです。
ブランディングには対お客様向けに行うアウターブランディングと、
対従業員向けに行うインナーブランディングの2つがあります。
先ほどの例でいえば、なぜ感謝を生み出す家族葬をするのか?
なぜこのような祭壇を創るのか、手間暇をかけるのか、
なぜ他とは違うギフト商品をつくるのか。
そういった「なぜ」の部分を従業員全員に浸透させていく活動です。
葬儀の世界においては、葬儀会館から始まり、
祭壇や棺、骨壺、霊柩車など、様々なモノが存在します。
それ自体はもちろん他社との違いを作る事が出来ますが、
一方でそれはすぐに真似をすることができるものです。

しかし、家族葬や生花、ギフトを通じて伝える想いは簡単にはマネできる事が出来ません。
そしてそれを伝えるのは「人」です。
つまり、葬儀の世界においては究極の差別化は「人」であり、
そのために必要なことがインナーブランディングであると言えます。

インナーブランディングは、いわゆる理念浸透活動です。
よく理念の浸透のために、額縁に理念を掲げ、事務所内においてある会社があります。
また毎朝の朝礼で理念を唱和する活動もあります。
それはそれで悪いことではないですが、「浸透」という観点でいえば、
あまり大きな効果をもたらすものではありません。

本来大事なのは、その言葉自体を覚えること以上に、
その背景にある意味であり、その理念のことを考える時間です。
いわばマインドシェアを高めるということにつきます。

インナーブランディング活動の一環として、
毎月理念のことだけを議論する会議を設けている会社もあります。
全社員が集まって、理念に関する議論をする。
何か答えを作り上げる時間ではありません。
単にマインドシェアを高める事、それが目的です。

社内報という形で毎月従業員に考え方を届けている会社もあります。
時には動画にして、そのメッセージ性を高めている会社もあります。
表彰制度もその一つと言えるでしょう。

そういった様々なインナーブランディング活動を通して、
従業員は会社の大切な考え方を深く理解していきます。
それが普段の施行につながり、葬儀を通じて考え方がお客様に伝わります。
それが最も大事なことです。
その上で、アウターブランディングを実施することで、
会社の理念はさらにお客様に届きやすいものとなります。

8.最も効果の高いインナーブランディング活動とは?

インナーブランディング活動においては様々な取組がありますが、
その中でも最も効果が高いのが「採用チーム」をつくることです。

葬儀業界は、どうしても季節変動が大きく、人手が余っていると思ったら、
急に足りなくなる、そんなことも珍しくありません。
ですから採用活動も計画的というよりは、
むしろ緊急を要して採用ということもよくあるのではないでしょうか。

その結果、マインド面で合わないという方を採用してしまい、
会社が少しぎくしゃくしてしまう・・・
そんなことになってしまう会社もよくあります。

人は葬儀社にとって最も重要な資産です。
だからこそ、その場限り採用ではなく、
計画的に採用をすることが企業の成長にとって欠かすことができません。
その為に社内に「採用チーム」を作り、
そのチームを中心とした採用活動を行うことが重要です。
さらにこれ自体がとても価値の高いインナーブランディング活動となります。

特に新卒採用活動はおススメです。
中途採用に比べて、ハードルはだいぶ高いように思えるかもしれませんが、
人材採用という観点だけではなく、
インナーブランディングとして高い効果を見込めることまで考えると、
むしろ費用対効果は良い取組です。

採用チームの活動は単にどんな媒体を使って、
どんなキャッチフレーズで求人を行うのかといった表面的な話ではありません。
そもそも「どんな人が欲しいのか?」を決めるところからスタートします。
その前提には、「私たちの会社はどんな会社か?」
「どんな強み、らしさがあるのか?」
「自社のお葬式の特徴は?」といったことの議論が必要です。

なぜならば、採用チームは実際に学生とのやり取りをします。面接も行います。
ですので、上記のようなことを学生に伝えないといけません。
その為には、自分たち自身がしっかりと理解しておかないといけないのです。

さらに、学生に繰り返し自分たちの言葉で伝える機会を持つと、
おぼろげだった会社のビジョン、理念といったものの理解がどんどん深まります。

新卒採用に取り組み始め、そして採用チームを作り、取り組んだ会社のほとんどが、
参加メンバーの成長を実感するほど、
本当に価値の高いインナーブランディング活動の一つと言えます。

9.従業員一人一人をブランド化する

葬儀業界においては、すでに家族葬や直葬だけで差別化できる時代が終わりました。
「何をやるか」ではなく、「どのようにやるか」が重要ということは、
詰まるところそこで働く人の差別化こそが、葬儀社がこれから先、
地域に選ばれ続ける会社となるために、重要なことであることは、先ほども述べた通りです。

この「人で差別化する」とは、働く従業員一人一人を「ブランド化」するということです。
「〇〇葬儀社の一担当者」ではなく、「〇〇葬儀社の前田さん」、
そう呼ばれるような人を一人でも多く育てる事です。
一人一人がブランド化されることで、企業としてのブランド力を高め、
それが他社にはない唯一の「選ばれる理由」となる。
そうなった葬儀社は、
これから先たとえ大手が近くに来たとしても業績が揺るぐことはありません。

ではどのように従業員一人一人のブランド化を図るのか。
企業のブランドの中心にあるものはビジョンやミッションといった
MIであることは先ほども述べた通りです。
つまりこれを従業員1人1人にも作っていくことがスタートになります。

ですが、ここで一つだけ注意する必要があります。
従業員のブランド化という観点で、
「お客様に向けたメッセージ」をHPで見かけることがよくあります。
ですが、この「メッセージ」という観点から考え始めると、
ほとんどの方が同じようなものになってしまうのです。

お葬式は100人あれば、100通りのお葬式があります・・・
お葬式というのは人生最後のセレモニーと言われます。
そんな最高のサービス業に携わる事が出来て本当にうれしい・・・
ご家族に寄り添って、後悔のないお葬式のお手伝いをします・・・

これらはどこかで一度は見た言葉ではないでしょうか?
どうしても葬儀社からのメッセージを考えると、このようなものになっていくのです。
結果として、そこには独自性がなくなり、
「その人らしさ」が見えなくなってきてしまいます。

その人にしかない思いを引き出す、
そのためはメッセージを考えるのではなく、
その人の「原体験」に触れる必要があります。

誰しも生きてきた中で様々な経験があります。
人によってはトラウマになるようなものかもしれない、
人によっては価値観を変えるのほどの成功体験かもしれない。
人生を変える人との出会いがあるかもしれない。
それらのストーリーは、その人にしかない唯一のものです。
その「原体験」をベースとしたストーリーが誰かと同じになることはありません。

この原体験をベースにしたストーリーをお客様や従業員同士に発信していく。
お客様にそのストーリーを知ってもらうことで、
よりその従業員との距離が縮まり、コミュニケーションが増える。
従業員一人一人にファンができ、育つことで、会社としてのファンが増えていくのです。

この過程こそが、授業員ブランディングにおいて最も重要な点です。

10.従業員ブランディングによるメリット

地域に選ばれる葬儀社になるためのブランディング活動として、
従業員ブランディングという考え方をお伝えしましたが、
これは単に差別化としての手法だけではなく、様々なメリットがある取組でもあります。

私はこれまで100人以上の葬儀社で働くスタッフのインタビューを行ってきています。
その中で、「そんなストーリーはない」という人に出会ったことはありません。
不思議なもので、普段は口下手だったり、会議でも全然発言をしないような人であっても、
ご自身のことだとびっくりするぐらい饒舌にお話をされます。

自分を話すこと、それが認められて、表現される。
従業員ブランディング活動とは、つまり「自己肯定感」を高める活動ともいえるのです。

内閣府の調査によれば、日本人はアメリカやヨーロッパ各国、韓国と比べても
自己肯定感がとても低いという数字が出ています。
それだけ自分を表現することが苦手なのが日本人です。

自己肯定感が高くなると、失敗を恐れにくくなったり、行動力が増したり、
プラス思考になるなど、様々な効果があるといわれています。

従業員ブランディングを通じて、自己肯定感が高まることは、
モチベーションアップ、成長スピードのアップにつながり、
それは結果として会社が強くなることにつながっていきます。

またそれぞれの原体験を明らかにすることで、
従業員同士も知らなかったそれぞれの考え方を知る事が出来ます。
チーム力を高める上で、お互いを知るということはまさに基本中の基本。
お互いを知らずして強いチームになることはありません。
原体験ストーリーを通じてチームづくりの基礎が出来上がるのです。

従業員ブランディングとは、単なる差別化、お客様のファン化だけにとどまらず、
社内的にも人材の成長、そして組織強化にもつながる活動でもあるのです。
今回は、「地域に選ばれる葬儀社になるためのブランディング戦略」をまとめました。

転換点を超えた葬儀業界において大切なこととして「ブランディング」の観点から、
その具体策をお伝えしましたが、これはもっと大きな未来を考えると、
葬儀業界にとどまるものではありません。

今は業種の垣根がどんどんなくなっています。顧客数やデータを持っている企業が、
その強みを活かして、他の業界にどんどん参入してくる。
日本において人口が減少する、それぞれの市場が小さくなるということを考えれば、
業種の垣根がなくなり、企業が複合化していくことは何の不思議もありません。

葬儀社は、「地域に選ばれる葬儀社」から「地域に選ばれるホスピタリティ企業」になり、
そして「地域になくてはならない会社」を目指す。

そんな未来を視野に追いながら、経営をしていくことが大事なのだと思います。

つむぎ㈱では、葬儀業界のブランディングサポートを行っています。従業員一人一人が輝き、やりがいのある葬儀社を目指したい方で、課題がある方は、お気軽にご連絡ください。

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