Interview with the management経営者インタビュー

人は亡くなったら、お星様になる。宇宙葬で“想い”を未来へ届ける~株式会社SPACE NTK~

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東京

2026.07.23

社会貢献/自己実現

人は亡くなったら、お星様になる。宇宙葬で“想い”を未来へ届ける~株式会社SPACE NTK~

今回は、宇宙葬(葬・想)という新しい供養のかたちを展開する、株式会社SPACE NTK 代表取締役の葛西智子氏にお話を伺いました。

「人は亡くなったら、お星様になって、地球に残された人たちを見守ってくれるのよ」

幼い頃、母から聞いたこの言葉が、葛西氏の心に深く残り続けていました。

葬儀業界に携わって30年以上。音楽葬、生演奏を取り入れたお別れなど、故人様らしい送り方を数多く手がけてきた葛西氏が、たどり着いたのが「宇宙葬」でした。

宇宙葬は、ご遺骨を宇宙へ届け、人工衛星が地球の軌道を周回した後、大気圏に突入して流れ星になる供養です。

しかし葛西氏が届けたいのは、単に“ご遺骨を宇宙へ送ること”ではありません。

夜空を見上げるたびに、大切な人を思い出せること。
残された人が「見守ってくれている」と感じられること。
そして、死を悲しみだけではなく、少しの希望やロマンとともに受け止められること。

宇宙葬に込められた想いと、実現までの歩みについて伺いました。

幼い頃に心に決めた「私は絶対に星になる」

葛西氏の原点には、幼い頃に母から聞いた「人は亡くなったら、お星様になる」という言葉があります。

当時の葛西氏にとって、その言葉は怖いものではなく、むしろどこかワクワクするものでした。

その後、葛西氏は小学校から高校まで仏教の学校に通い、仏教の考え方や供養について学ぶ環境の中で育ちました。さらに、父方の祖母が亡くなった際の光景も、今につながる大きな原体験となっています。

火葬を終えた後、ご遺骨が墓石の下の土の中に納められていく。その様子を見た幼い葛西氏は、「この暗い地中の中にずっといるのか」と強い衝撃を受けたといいます。

「私は絶対に星になる」

その時の想いは、年月を経ても消えることはありませんでした。

当時の祖母のお墓参りも、葛西氏にとっては簡単なことではありませんでした。実家は東京にありながら、お墓は千葉。お盆やお彼岸のたびに時間をかけて通う中で、「亡くなった人に手を合わせることは大切。でも、その人を思う方法はお墓だけなのだろうか」という問いが、心の中に残っていきました。

葬儀の現場で培った、故人様の人生を受け止める力

葛西氏が葬儀業界に入ったのは、20代後半の頃。最初はアルバイトとして葬儀社に入りました。

仏教の学校で学んでいたこともあり、お寺様との打ち合わせや宗派に関する理解があったこと、さらに葬儀の司会進行にも対応できたことから、葬儀の仕事に深く携わるようになっていきます。

特に葛西氏の中で大きな経験となったのが、故人様の生涯を紹介する司会でした。

ご家族から10分、20分ほどお話を伺い、時には30分後には故人様の人生を3〜4分の言葉にして伝えなければならない。

その短い時間の中で、どの言葉を選び、何を伝えるのか。そこには、故人様の尊厳と、ご家族の想いを受け止める責任がありました。

「亡くなった方のことを、きちんと受け止めて、最後にお見送りしなければいけない」

そうした姿勢は、葬儀の現場で日々培われていったものです。

故人様の人生を勝手に想像して語るのではなく、ご家族の言葉を丁寧に聞き、確かめ、受け止めること。その積み重ねが、現在の宇宙葬にもつながっています。

「星になるにはどうしたらいいのか」から始まった挑戦

葬儀業界で30年以上、さまざまな葬儀をプロデュースしてきた葛西氏。

音楽葬、生演奏を取り入れた葬儀、社交ダンスを愛した方のために祭壇の前で皆で踊るお別れ。一般的な葬儀の枠にとらわれず、故人様らしさを大切にした送り方を数多く形にしてきました。

一方で、50歳を過ぎた頃、幼い頃に聞いた「人は亡くなったら星になる」という言葉を、ふと思い出すようになったといいます。

海洋葬は自然葬の一つとして広がっていますが、船に乗る必要があり、酔ってしまう方もいます。樹木葬も自然に還る選択肢ではありますが、葛西氏にとっては、どこか従来のお墓に近い感覚がありました。

「自分が本当に望んでいた“星になる”供養は、どうすれば実現できるのか」

葛西氏はまずJAXAに相談しました。しかし、日本では難しいという返答でした。そこで、アメリカであれば可能性があるかもしれないと考え、スペースポートツアーに参加し、国際宇宙開発会議にも足を運びました。

2018年には、宇宙葬を実現するためにはロケットと人工衛星の協力が必要だと、現地でプレゼンテーションも行いました。

その中で出会ったのが、SpaceX社のエンジニアでした。

準備が整った段階で連絡をしたところ、後日、国際電話がかかってきました。電話口は当時の副社長でしたが、創業者で代表のイーロン・マスク氏が傍にいて、彼の質問を通訳するために副社長が電話をかけてきたという経緯でした。副社長を通してイーロン・マスク氏からいくつかの質問を受け、そのすべてに「Yes」と答えられれば協力する、という話でした。

葛西氏はその時のことを「緊張というより、夢心地だった」と振り返ります。

「うちのロケットでやってください」

その言葉をきっかけに、幼い頃から抱いていた「星になりたい」という想いが、現実へと動き始めました。

ご遺骨を宇宙へ届けるまでにある、確かな準備

宇宙葬は、ご遺骨をただロケットに載せるだけではありません。

まず、ご遺骨をパウダー状にし、人工衛星に納めます。その人工衛星は手作業でつくられ、耐震性や高温・低温への耐久性など、さまざまなテストをクリアしなければなりません。

一度テストで不具合が出れば、作り直しも必要になります。打ち上げの半年前にはご遺骨をアメリカへ届け、準備を進めていく必要があります。

そうした工程を経て、2022年4月、第一弾となる宇宙葬の打ち上げが実現しました。

当日は朝まで雷と雨が続き、「今日は難しいのではないか」と思うほどの天候でした。それでも打ち上げ中止の連絡はなく、発射時刻のわずかな時間だけ雨が止みました。

カウントダウンが始まり、ロケットが打ち上がる。
人工衛星が宇宙の軌道に入った瞬間、葛西氏は力が抜けるほど安堵し、自然と涙があふれていました。スマートフォンで打ち上げの様子を撮影していましたが、手が震えてブレてしまっていました。それほどまでに、長年の想いと、お客様の想いが重なった瞬間でした。

MAGOKORO号が運ぶのは、ご遺骨だけではない

SPACE NTKの人工衛星は「MAGOKORO号」と名付けられています。

その名の通り、葛西氏が宇宙葬で大切にしているのは、ご遺骨を運ぶことだけではありません。そこに込められた、ご家族の想いを宇宙へ届けることです。

ご契約の際、葛西氏はまず宇宙葬の説明をします。その上で、「どうして今回、宇宙葬を選ばれたのですか」とご家族に尋ねます。

すると、ご家族は故人様への想いや、宇宙へ届けたい理由を話してくれるといいます。

あるご家族は、亡くなった方のご遺骨と一緒に、ご家族の髪の毛を少しずつ納めました。「家族で宇宙旅行を楽しんでいる」と話されていたそうです。

また、ペットを亡くされた方には、ペットの毛を一緒に宇宙へ届ける提案をしたこともありました。また伴侶を亡くされた方には結婚指輪そのものは難しくても、指輪の石であればご遺骨と一緒に納めることができると提案したこともあります。娘様からのメッセージを添えて送り届けたこともありました。

ご遺骨だけではなく、髪の毛、ペットの毛、メッセージ、大切な品の一部。

許される範囲の中で、できる限り想いを一緒に届ける。それが、葛西氏の考える宇宙葬です。

家族の手で納める時間そのものが、供養になる

宇宙葬ならではの時間があります。

それは、ご家族がご遺骨を納める時間です。

最初は葛西氏が白手袋をしてお箸を持ち、ご遺骨を納めることが多いそうです。しかし、その様子を見ているうちに、ご家族から「私たちも入れていいですか」と声があがることがあります。

「どの骨にしようか」とご家族で相談しながら、皆でご遺骨を納めていく。

その時間は、単なる手続きではありません。故人様をもう一度近くに感じ、ご家族の手で宇宙へ送り出すための、大切な供養の時間です。

お墓に納めてしまえば、ご遺骨を見る機会はほとんどなくなります。しかし宇宙葬では、ご家族が故人様と向き合い、自分たちの手で想いを込める時間があります。

葛西氏は、そうした時間も含めて、宇宙葬の価値だと語ります。

夜空を見上げるたびに、大切な人を思い出せる

宇宙葬では、人工衛星が地球の軌道を周回した後、最後は大気圏に突入して燃え尽き、流れ星になります。宇宙空間にご遺骨を撒くわけではないため、宇宙ゴミになることもありません。

第一弾として打ち上げられた人工衛星は、すでに大気圏へ突入し、流れ星となりました。

その知らせを受けたお客様からは、「涙が出ました」「感動しました」といった声が届いたといいます。お子様を亡くされたお父様からは、「やっと宇宙にずっといられる存在になったんですね」という言葉も寄せられました。

葛西氏は、供養とは「亡くなった方を思い出すこと」だと考えています。

夜空を見上げる。
「あそこにいるのかもしれない」と思う。
毎晩、大切な人を思い出すことができる。

それは、お墓参りに行ける日だけの供養ではありません。日々の暮らしの中で、空を見上げるたびに故人様とつながれる供養です。

宇宙葬を知った方の中には、「死ぬのが怖くなくなる」と話された方もいたそうです。

死は、誰にとっても避けられないものです。だからこそ、その先に少しでも希望を感じられること。大切な人が星になり、見守ってくれていると思えること。

宇宙葬は、悲しみの中にロマンと安心を灯す、新しい供養のかたちなのかもしれません。

2030年、宇宙葬を当たり前の選択肢に

葛西氏が葬儀業界に入った30年以上前、海洋葬はまだ始まったばかりでした。当時は月に1件、年に数件の申し込みがあればよいという状況だったそうです。

しかし今では、海洋葬は自然葬の一つとして広く知られるようになりました。その後、樹木葬も広がり、供養の選択肢は少しずつ多様化しています。

葛西氏は、宇宙葬も2030年頃までには、海洋葬や樹木葬と同じように、誰もが選択肢の一つとして考えられるものにしていきたいと語ります。

日本では、墓じまいを考える人も増えています。お墓を閉じた後、ご遺骨をどのように供養するのか。その悩みに対しても、宇宙葬は新しい選択肢になり得ます。

お墓に納める。
海へ還る。
樹木のもとで眠る。
そして、星になる。

供養のかたちは、もっと自由であっていい。大切なのは、故人様とご家族が納得できること。そして、亡くなった方を思い続けられることです。

「人は亡くなったら、お星様になる」を現実に

幼い頃、母から聞いた一言。

「人は亡くなったら、お星様になる」

葛西氏は、その言葉を半世紀近い時間をかけて、現実の供養のかたちへと育ててきました。

それは、ただ宇宙へ行くという壮大な話ではありません。

ご家族が故人様を思い、手を合わせ、夜空を見上げる。
大切な人が、どこか遠くではなく、いつも空から見守ってくれていると感じられる。

宇宙葬は、故人様を送るためのものでもあり、残された人がこれからを生きていくためのものでもあります。

「星になる」という言葉に、祈りと想いと未来を込めて。

株式会社SPACE NTKの宇宙葬は、これからの時代における新しい供養の選択肢として、多くの人の心に寄り添っていくのではないでしょうか。

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