Interview with the management経営者インタビュー
東京
2021.06.18
社会貢献/自己実現
今回は東京都に拠点を持ち、「心を込めて、供養のすべてをお手伝い」を理念に、葬祭業の運営や墓石の販売を行う株式会社ニチリョクの寺村様にお話をお伺いしました。
寺村様が入社された当時は、社内のインフラ体制が充分に整っておらず、葬祭事業の立ち上げを担当されることからのスタート。とにかくお客様と強い繋がりを持つために、何度もセミナーや勉強会を開催し、年間370件もの機会を提供してきました。上場をしても尚、お客様との強い結び付きのために尽力する、ニチリョクの取り組みをお伺いしましたーー。
ー始めに、御社の歴史について聞かせてください。
昭和41年に創業し、昭和55年に墓石業界に参入しました。先代が60歳迎えた2000年を機に、お葬式の提供を始めました。お墓は生前に購入を検討される方が多く、一度関係ができたお客様と長くお付き合いをさせていただきたい想いでしたので、お葬式事業を始めたのは自然の流れだったのではないかと思います。
私が入社したタイミングではまだ葬儀は始めておらず、お葬式事業の立ち上げからやらせていただきました。社内で葬儀を運営するノウハウが無く、私自身も事業を立ち上げる経験がありませんでしたので、何もないところから試行錯誤をしながら仕組みを作っていきました。
「家族葬・直葬に特化した、ご安置・ご面会場所を作ろう」という先代のアイデアを踏襲して、ラステルの立ち上げも行いました。当初予定していた内装レイアウトは、悪くはなかったのですが一般的な雰囲気で、これでは差別化ができないと思いリデザインを敢行。
家族葬にふさわしいエントランスに始まり、エレベーターで下ったら別世界が広がるような空気作りにこだわりました。ヨーロッパでは、面会室ともう一部屋別室を設けるスタイルでお見送りを行います。その形を参考にして、お客様がくつろげる面会室も準備しました。
ー事業を立ち上げる他に、苦労はありましたか?
私が当社に入った頃は、Windowsが普及し始めたタイミングでした。ネットワークを組んで、社内でメールでのコミュニケーションを標準化しようとしたのですが、それまで対面でのやり取りに重きを置いてきたために、なかなか効率化が進みませんでした。ただ先代がふとした時にメールを使い始めるようになったのがきっかけで、社員にも一気に広がりました。
上場をする前は、会計は基本手作業で中心に行っていて、システムで管理されていませんでした。当時墓石業界において、上場している企業が無かったので、前例が無い中で私が仕組み作りを担いました。今では業界では当たり前となっている経理処理のスタンダードがここで確立できたものと考えています。
ーお客様に認知していただくために、どのような工夫をされてきましたか?
当社のラステルの新横浜店ができた当時、私は部長を務めていました。「お坊さんとお喋り会」を開催する程度しかイベントを行っていなかったので、もっと多くの人に知っていただこうと勉強会などを開催し、新たな仕掛けを始めました。
社内からは取り組みに懐疑的な声もありましたが、活動をテレビ局から取材していただくご縁もいただき、年間370件のイベント、延べ8500人の方が参加してくれる催しを開催し続けました。
予期せぬタイミングで不幸が訪れ、どうすればいいのか分からず不安を抱える方に、我々は力になりたい。万一の時の頼れる先、困った時に私たちの顔を思い浮かべてほしい。そのための結び付きだと思いますし、強いご縁になるためには、何度も接点を持つ必要があると考えます。
お陰様で、コロナ禍になる前は、新横浜で開催されるイベントでは毎回40名の方がコンスタントにご来場。その半数はリピーターの方で、何度も当社と接点を持たせていただいている方なんです。不意に来るお葬式に、ラステルを思い浮かべてもらう活動として日々取り組んできました。
ーお客様との結び付きを大事にされているのですね。
実はラステルへの問い合わせの半数は、以前に一度も接点を持ったことがない方。以前からラステルのことを知ってくれていても、イベント等で直接関わったことがない方はまだまだ多いのが現状です。それくらい、敷居が高いのが葬儀社の性質だと思います。
イベントをたくさん行っている我々も、まだまだ発展途上。「あの人の人柄に惚れて」だけで成果が出続ける業界ではありません。市場やお客様が何を考えているのかを常に想像し、新しい販売チャネルを生み出していく必要性を感じています。これまで関わりのなかったネットワークができると、また新たなご縁が生まれるかもしれないですからね。
他社さんの商品サービスと同じようなものを提供し、価格の調整だけで勝負するのは好ましくないと考えています。インターネットを通じたマーケティングも大事ですが、ニチリョクらしさを直接お客様に発信していくことは大事だと考えています。
事業はアグレッシブに取り組みながら、突飛なことはしない。葬儀業界全体が縮小気味ですので、商品サービスの価値を上げて、ニチリョクらしさを出して差別化をし、一生懸命取り組んでいくことに尽きるかと思います。
ー最後に、今後の展望を教えてください。
個人的な思いとして、供養業界というカテゴリーに収まらない価値を創造したいと考えています。お葬式を一つひとつ、有難く丁寧にやらせていただくことはもちろんのこと、シニアライフ全般をサポートしたい。
コロナ禍の影響があって減少しましたが、以前はケアマネージャーや地域と連携して、セミナー等の講演活動も行っていました。お客様が困った際に、動ける存在であることがベストだと思いますので、今後は更に日常生活に関わる人たちとうまくネットワークを紡いでいくことに尽力していきたいですね。
お葬式や墓石のやりとりだけでなく、相続や遺言など、どうすればいいのか、誰に相談すればいいのか分からないことはたくさんあると思います。お年寄りとそのご家族が、安心して楽しめるような社会作りへ、少しずつ取り組んでいけたらと思います。
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