Interview with the management経営者インタビュー

父親が残してくれた大切なこと~(有)大阪屋葬祭~

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愛知

2021.07.09

社会貢献/自己実現

父親が残してくれた大切なこと~(有)大阪屋葬祭~

本日は愛知県常滑市にて地元密着を掲げ葬祭業を営んでいる有限会社大阪屋葬祭の武内社長にお話をお伺いしました。お客様に誠実であり続けたことから、地域一番店にまでなった同社。その基本となる考え方は、先代である父親の言葉、創業の想いにありました。

地元に根差し、取引先、お客様に誠実であり続ける大阪屋葬祭はどのような軌跡を描き、成長を続けてきたのかー

ー創業のお話をお伺いできますでしょうか。

元々大阪屋という屋号では呉服店を営んでいました。昭和初期の頃と聞いています。その次男であった私の父親が葬儀社を創業しました。それが平成4年の頃です。

その当時、私達が商売を営んでいた知多半島には葬祭ホールが一つもなかったんですね。それで葬儀社を始めようと。父親はかなりの勉強家でした。とにかく負けず嫌いの性格もあり、色々と調べてどんな商売が良いのかを考えて、たどり着いたのだと思います。

ー武内社長は事業を継ぐことはいつごろから考えたのでしょうか?

葬儀社を開業したのが私が高校1年生の時です。ですが、その頃に仕事の話をしたこともなく、また私も継ぐなどとは思っていませんでした。とはいえ、何かやりたいこともなく過ごしているとあっという間に高校3年の3学期になりました。冗談ではなく、本当に何もすることを考えていなかったんですよね笑

そんな時です。父親に呼ばれ、「大阪屋という名前を残したい」と。父親はザ!昭和の経営者という感じで、人に、ましてや息子に頭を下げるなんて全くイメージがつかない人です。その父親に頼まれたことが本当に心に響いて、その時に後を継ぐことを決めました。

ーすぐに会社に入社されたのですか?

まずは外に修行をしに行こうとなりました。ご縁があり東京の大成祭典にお世話になることができ、4年ほど修行を。本当に色々と教えていただき、感謝しかありません。

その後、2件目の葬祭ホールを建てることになり、そのタイミングで実家に戻ることになりました。

ー社長に就任されたのはいつの頃でしょうか?

平成27年の頃ですね。当時、父親とぶつかることが多くなってきました。父にとって会社は子供のような存在ですからね。自分のやりたいようにやっていたのかもしれません。しかし、従業員も多数抱え、我慢できないことも出てきました。それでよく喧嘩しましたね。それで、結果として私が代表をすることになりました。

正直に言えば、辞めてしまおうと思ったことも何度もありました。しかし私が抜けてしまえば社員もバラバラになってしまうかもしれない。自分一人の判断で辞めるという選択はすることはできなかったですね。

そして何より「大阪屋という名前を残してくれ」という父親の言葉はどこか片隅にずっと残っていた。だからここは自分が社長になるしかないと思いました。

ー社長となられてから大変だったことはありますか?

しばらくは父親にも会長として残ってもらっていましたが、3年後に取締役も外れることとなりました。それ自体は些細なことかと思っていましたが、実はこの時が一番大変でしたね。

それは何より精神的なものです。父親は現場に出るわけでもなく、また経営という観点でももう私が中心に廻っていました。ただ、どこかで最後の砦に父親がいるというのが安心感としてあったのだと思います。父親が取締役を外れるということだけで、こんなにプレッシャーが変わるものなのかと。その時期が一番大変でしたね。

ー経営理念はいつ形になったのでしょうか?

これは私が社長になった頃です。経営理念には

・地域に絶対に必要な企業(葬儀社)であり続ける事を目指します。

・全社員、お取引先様の成長と幸せを共に創造していきます。

・「おかげさま」といわれる葬儀社を目指します。

という3つを掲げています。

私達は誰にコミットするのかと言えば地域です。地元に根差す会社でありたいと思っています。だからこそ、お取引先も全部市内。賭け率等の話だけならば、全国に展開するような大手の方が条件がいいこともしばしばあります。ですが、それは関係ないんです。創業当時から、私達を助けて下さった会社があります。当時は正直不安だったはずです。本当にお金を支払ってもらえるのか。その当時の名残から、今でも10日払いのところもあるんです。もちろん今は支払サイクルを伸ばしてもらうこともできますが、私達がその気持ちを忘れないようにとの意味も込めて、そのまま10日払いでお付き合いしています。

経営理念と同じく社訓もありますが、これらは社員が一つになるという思いよりも、自分自身への戒めという意味合いの方が大きいですね。経営者として長くその場にいると独裁者ともなりかねない。そうではなく、会社はだれのために、何のためにあるのかを自分自身が常に確認できるようにと、作ったものでもあります。

ー今後はどのような会社を目指していきたいですか?

私にとってのモチベーションは何なのかということを真剣に考えたことがあります。おかげさまで大阪屋葬祭は地域一番店となることができました。ですが、私自身はさらに会社を大きくしたいとか、お金が欲しいとか、そこには一切モチベーションが沸かないんです。ただ、地元の先輩や後輩と飲みに行った時に、「大阪屋すごいね」って言ってもらえたらうれしいなと。

先日、地元にイオンができたのですが、そこに足を運ぶと、10人、20人と知り合いに会うんですよね。地元に根差しているという感覚がすごいのですが、やっぱりそれがいいなと思います。

その為にも如何にお客様に誠実であり続けるか、それが一番大事だと思っています。誠実であるということは、お客様に説明できないことはしないということ。例えば弊社では、例え私の知り合いであっても値引きは一切しません。説明がつかないですよね、社長と知り合いだから安くなるというのは。お客様は皆さん平等にお客様です。

今では葬儀社としては当たり前であるプラン料金であったり、会員制度も行っていません。プランだから安くなる、会員だから安くなる、というのはしっかりと説明ができない。弊社は今でもみんな同じ料金で、一つ一つお話の中から料金を積み上げていきます。

そういう誠実であることを続けてきた結果が、今地域で一番店になれた理由だと思っています。

そしてこの考え方は何より創業者である父親の考え方でもあります。今年、父は他界しましたが、改めて父親が伝えてきてくれたこれらの考え方は本当に大切な事ばかりだと感じています。

これからも父親が残してくれた考え方をしっかりと胸に刻みながら、地域に根差した企業として成長していきたいですね。

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