Interview with the management経営者インタビュー
神奈川
2021.06.16
自由度
神奈川県川崎市を中心に活動し、地域に密着した経営を行っている、株式会社花葬・大屋徹朗様にお話をお聞きしました。
学生時代、目標がなかったという大屋様。しかしある出来事を境に葬儀業へと進むことになります。やがて、働いていくなかで感じ取ったお客様のニーズを実現すべく独立を決意。独立後は苦労を重ねながら独自の哲学のもと、Jリーグのサッカーチーム・川崎フロンターレのオフィシャルスポンサーとなるなど、地域に密着した企業を目指しています。
「葬儀業界は信頼関係が一番大切だと思うんです」と話す大屋様。
ご自身、そして花葬の進む道を決断してきた慧眼の裏側に迫ります。
創業に至るまでのお話をお聞かせください
花葬を創業したのは2017年。それまでは同じ葬儀業界の会社に10年以上勤めており、葬儀の専門学校も出ているので、業界に入ってからはもう20年近くになります。
専門学校への進学はとても運命的なものでした。当時、高校生だった私は特に目標もなく、友人たちと街で遊ぶ毎日。その日は友人たちと遊ぶため横浜に出かけていました。遊んでいくなかでなぜか普段は行かないデパートの屋上に行こう、という話になったんです。すると屋上手前の階で、専門学校の合同説明会が行われていました。
誘導の方に話しかけられたことや、一校でも話を聞けば景品がもらえたこともあり「とりあえず、聞いてみるか」と入場。早く済ませたいとの思いから、ガラガラだったブースに座ったところ、それが葬儀の専門学校だったんです。
お話を聞いてから、葬儀の専門学校へ進学し、葬儀社へ就職。
就職して3〜4年目までは苦しい経験の連続でした。しかしお式を担当させてもらえるようになった時期からやりがいを感じるようになり、それ以来、葬儀業一筋で進んできました。
葬儀業との出会いは運命的なものだったんですね。
なぜ独立を決意されたのでしょう?
葬儀業を続けていくなかで、さまざまなお客様のご担当をさせていただき、時代の変化から、次第にお客様から求められるものも変化していることに気がつきました。打ち合わせの段階で、お客様のお気持ちが入られていない場合が多くなってきていたのです。
はじめは一体どういった状況なのだろう?と悩む日々が続きました。問題は式の内容でも、式を担当する人でもない。そして悩み抜いた末、価格に問題があるんだと気がつきました。
その変化が顕著に現れているのは、小さなお葬式の浸透です。通常のお式をする際、会員様でもかなりの高額となってしまいます。しかし小さなお葬式の場合は費用を低く抑えることができ、近年ニーズが増加しています。
お客様に求められている、低価格で良質なお別れを提供したい。
その想いで独立を決心し、お別れをお花で彩る花祭壇に特化した会社・花葬を立ち上げたんです。
花葬は地域に根付いたスポーツチームのスポンサーをされていますよね?
そうですね、僕は、葬儀業界は信頼関係が一番大切だと思っています。
信頼関係をしっかりと構築できれば、一度ご依頼されたお客様から、きっとまた選んでいただけるはずです。
そうは言っても葬儀は10年に一度とも、30年に一度とも言われるもの。リピーターの方だけをターゲットにしてしまった場合、なかなかうまくいきません。実際、業界的に新規の葬儀社というのは潰れやすい傾向にあります。
しかし一方で、リピート率が高くないのもまた、葬儀業界の現状です。多くのお客様に何度も選んでいただけるようになれば、きっと会社はうまく軌道に乗れる。
そのためには良質なサービスを提供するだけでなく、1回目の利用をしていただくために地域の方々に受け入れていただく必要がありました。
川崎市の方々に「どうやったら身近に感じていただけるか?」を考え、事務所の立地にもこだわりました。
最初のうちは近隣の葬儀社さんが17時や18時には閉店するなか、20時まで営業を続けていました。遅くまで営業していると、夜に灯りがついている葬儀社さんは珍しいのか「ちょっと相談いい?」と入られてくるお客様がいらっしゃって。はじめのうちはそういった方々に支えられてきました。
営業を続ける傍ら、地域の方に受け入れられていただけるように、地域活動も行っていきました。
河川の清掃やマスクの配布……なかでも一番大きかったのは、川崎フロンターレさんのオフィシャルスポンサーになったことでした。
オフィシャルスポンサーになるためには、もちろん多くの資金が必要です。悩みや葛藤もありましたが「ダメだったら取り返せばいいんだ」と思い切って出資に踏み切りました。
結果的に決断が功を奏し、今では川崎フロンターレさんだけでなく、川崎市さんとも連携し、フットサル大会などの地域に密着したイベントを開催させていただけるようになってきました。
また〜年にはBリーグの川崎ブレイブサンダースさんのオフィシャルスポンサーにも認定いただき、より地域に密着した葬儀社となれるよう活動しています。
創業時の苦労を乗り越えて、段々と地域に受け入れられてきているんですね。
そうなんです、最近では高齢者施設や病院の職員さんが式を手配する際「花葬という葬儀社があったな」とご依頼していただけるケースも増えてきています。
また認知が広まるにつれ、「花葬で働きたい!」と行ってくださる方も多くなってきました。そういった方々には「何か取り柄がないと採用しないよ」と伝えています。そのこともあって甲子園の出場経験がある、や、前職での営業成績が一番だったという社員が多く在籍しています。
採用へのこだわりは、私自身に経験によるものです。
私は学生時代プロサッカークラブのジュニア組織に所属していました。過酷な環境で練習に励んでいましたが、挫折を経験。プロへの道を諦めました。しかしその過酷な経験があったからこそ、就職してばかりの頃の様々な苦労を乗り越え、今があるんです。
スポーツだったり、何かに打ち込み続けた経験だったりがある人は、負けん気が強く、し仕事でもしっかりやっていける力があると思っています。
今後はどういった展開を考えられているのでしょう?
実は先のことを考えるのが苦手でして……。川崎フロンターレさんや川崎市さんから予想もしなかったようなお話が来るので、それをどう対応していくかに夢中になってしまっています。
ただ現在は、これまで川崎のみだった対応エリアを横浜にも拡大しており、どんどんと会社を大きくしていけたらと考えています。
それぞれの場所で地域に貢献できるような活動し、市民の方々に「葬儀といったら花葬だよね」といってもらえる、用事がなくても立ち寄っていただけるような、身近な存在になっていけたらいいですね。
<この記事を書いた人>
■インタビュー つむぎ株式会社 代表取締役 前田亮 <https://tsumugi-mirai.jp/>
■ライティング 高橋昂希
大学卒業後、フリーライターとして、ストーリーを軸に据えたインタビューやレポート記事を執筆している。また物撮りやプロフィール撮影をこなすカメラマンとしても活動中。
お問い合わせ
Mission Company Story~エンディングビジネス~は、
葬祭業界(エンディング業界)特化型の経営者インタビュー・転職ブラットフォーム。
エンディング企業の経営者の「想い」と、その「想い」に共感する人と出会えます。
また、葬祭業界(エンディング業界)のさらなる発展のための情報を発信しています。