Interview with the management経営者インタビュー

仕事をこなしていただく、“ありがとう”の気持ち 〜株式会社中央セレモニー〜

  • Facebook
  • Twitter

東京

2021.06.08

社会貢献/自己実現

仕事をこなしていただく、“ありがとう”の気持ち 〜株式会社中央セレモニー〜

今回お話を伺ったのは、東京都豊島区にある、株式会社中央セレモニーの代表、大杉実生様。もともと政治の仕事をしていた大杉様が葬祭業界に入ったのは、知人からのお願いがきっかけでした。やがて働いていくうちに、葬祭業界の魅力に気が付き、どんどんとのめり込んでいくことに。売り上げ0の状態で会社を引き継ぎ、現在に至るまで、数多くの苦難を乗り越えてきた中央セレモニー。厳しい状況のなかでも、業界から離れなかった大杉様は、いったい葬祭業界のどんな点に魅力を感じているのでしょうか?

―――まずは、中央セレモニー様の歴史についてお聞きしてもよろしいでしょうか

私が中央セレモニーを立ちあげたのは、平成4年のことです。それまで私は九州で、政治家さんのお手伝いをしていました。平成4年ごろに仕事が一区切りし、「次は何の仕事をしようか?」と探していると、知人から「沖縄の葬儀社を手伝ってくれないか?」と声がかかったんです。

その知人は九州で設計会社(当時、西日本で一番大きな設計会社)を運営している方でした。沖縄にセレモニーホールを建設したのですが、依頼会社の社長さんが突然亡くなってしまい、仕方なく自社で葬儀社を持つことになったんです。ちょうど政治の仕事をやめ、故郷に戻っていて時間があったため、その葬儀社を手伝うことに。それから少しの間は、静岡と沖縄を行ったり来たりしながら、葬儀社の営業をする生活をしていました。

―――知人のお手伝いという形で、葬祭業界に入っていったのですね

はい、やがて葬儀の営業の仕事をしていくうちに、「葬儀はとても良い仕事なのかもしれない」と思うようになったんです。

というのも、私は商店やスーパーという物を売る行為がとても苦手なんですよね。「この商品を買ってください!」と勢いよくお客様の下へ行っても「いらないです」といわれたら急に勢いが無くなってしまう。最終的には、私に問題があるように感じ、「商品が欲しい」という方に出会うと「ありがとうございます。無料でいいですよ!」と、お金を取らずに渡してしまうんです。

その点、葬儀は違いました。お客様からご依頼され、サービスを行うことでお金と共に「ありがとう」という感謝までいただける。こちらからモノを売りに行く仕事ではなかったんです。

―――近年、葬祭業は“究極のサービス業”とも言われていますよね。

はい、葬祭業はやりがいはもちろん、商売としても魅力的だったんです。ただ現在の状況に至るまでは苦労の連続でした。

当時、私と親戚で立ち上げた会社は、遠縁の親戚が医師をしているということで、埼玉県のある病院の近くに事務所を構えていたんです。最初の話では、その病院からお仕事がいただけると言った話だったのですが、事情があり、なかなかお仕事をいただけず……。やがて会社が回らなくなり、多額の負債が残る形に。立ち上げから半年で、代表を勤めていた親戚が会社をやめてしまったんです。

しかしその状況でも私には、やめるという選択肢がありませんでした。出資いただいた知人に申し訳なかったんです。政治のお仕事をしていたときに、いくつか調子が落ちてしまった団体や企業を立て直す業務もしていたため、経験を活かして、売り上げ0から会社を立て直そうと決意。代表を引く継ぐことにし、事務所を大塚に移しました。

―――売り上げ0からの立て直し。想像を絶する苦労があったんでしょうね。

はい、当時、社員は4人ほど在籍してくれていました。

私は営業活動に出つつ、他の葬儀社の方から学びながら現場にたち、2人は経験が豊富だったため現場に専念していただき、最後の1人は現場の他に資金調達の交渉などをお願いして、4人でなんとか会社を立て直していったんです。

様々な媒体に広告を出していたので、受注口ごとに考え方が違い、見積もりもほとんど私が担当していた。あの頃は休みがなかったように感じています。

初めの頃はなかなかうまくいかず、会社が潰れてホームレスになってしまうんじゃないか?と思い悩んだ時期もありましたね。

―――代表自らが、休みなく動かれていたのですね。

はい、じつは私の父親も商売をしていて、人の倍、働くことを信念にしてました。もしかしたら、私は父の信念を自然と引き継いでいるのかもしれません。

苦難の度にどうにか乗り越え、やがて病院以外に、宗教団体さんからも依頼をいただけるようになり、少しずつ売り上げが上がっていきましたね。式の評判も良く、さまざまな方からリピートをいただけており、ある社員は「こんなにリピートが多い葬儀社は初めてです」と言ってくれていました。私の中には、「葬儀はお金をいただく上に感謝のお気持ちまでいただけるのだから、しっかり丁寧に行わなければならない」という想いがあります。それが知らぬ間に社員に伝わり、お客様への対応に現れていたのかもしれません。

時を前後して、日本葬送文化学会という団体にも通うようになりました。通い始めた頃は規模が小さく、名前も違いましたが、たくさんの葬儀社の方が所属している団体でした。この団体では、所属する方々から様々なことを助けていただき、葬祭業界に所属する人々の優しさを知りました。

また、葬儀社を運営するには、宗教、医学、経営、等々……、知らなければならないことが山ほどあることも知りました。勉強すればするほど、さらに知らないことが増え、どこまでも奥が深く「これはやりがいのある世界だな」と感じるようになっていきましたね。。 

―――葬儀社もうまくいくようになり、葬祭業界に関わる人々の素敵さを知ったのですね。

やがて事務所を巣鴨に移し、現在に至ります。

しかし、その頃から現在に至るまで、悲しいことに、会社を立て直したメンバー3人が亡くなってしまいました。あそこまで頼れる方々というのは他に考えようがなく、コロナ禍で大規模な葬式ができないこともあって、現在は私が1人で会社を運営しています。

広告の展開などは止めましたが、町内会や、知人、リピーターさんなどからご依頼をいただくようになり、現在、経営は安定していますね。

―――辛いご経験でしたね……。今後はどのような目標を抱かれているのでしょうか?

今は時間に余裕があるため、政治の世界にも少しずつ復帰しているような状況です。しかし、葬儀社を始めて、約30年立ちます。さまざまな苦難を乗り越え、運営してきたため、この業界から離れることはないと思っています。

このまま葬儀社を運営して若い世代にバトンタッチしていくのが、今思い描いている会社の将来像でしょうか。なかなか、会社を一緒に立て直した、あの3人のような方がおらず……。

ただこの業界は、仕事をしながらお客様から感謝をいただけるため、一度働き始めたら、長く業界に居続ける方が多いのが特徴です。なので、諦めずに後継者を探していけばきっと、葬祭業界に魅力を感じている方と出会えると思っています。これからもさまざまな場面で後継者を探していきたいですね。

お問い合わせはこちら(求職者様)

CONTACT お問い合わせ

Mission Company Story~エンディングビジネス~は、
葬祭業界(エンディング業界)特化型の経営者インタビュー・転職ブラットフォーム。
エンディング企業の経営者の「想い」と、その「想い」に共感する人と出会えます。
また、葬祭業界(エンディング業界)のさらなる発展のための情報を発信しています。