Interview with the management経営者インタビュー
埼玉
2022.01.11
社会貢献/自己実現
1972年にギフト会社としてスタートした中央商事。時代の中でどう生き抜いていくかを試行錯誤し、辿り着いたのが葬祭業界へ足を踏み入れることでした。
葬祭業界で成長を遂げたのち、小坂雅彦様は叔父さまから中央商事の社長を引き継ぎ、2代目代表取締役・社長となります。社長を引き継いでからも順調に歩みを進める、小坂様と中央商事。しかし頭には先代からかけられたある言葉が引っ掛かっていました。
「自分のカラーを出さないといけない」
自分のカラーとは何か?何をすればいいのか?悩み抜いた小坂さんがやがて行ったのが、ヴィジョンの策定でした。中央商事の歴史を紐解き、先代の言葉の意味、そしてこれからについて、お話を伺っていきます。
―――創業されたのはいつごろのことなのでしょう?
中央商事の創業は1972年、私の叔父が社長を務めていました。創業当初に行っていたのは、結婚式におけるギフトの販売でした。ただギフトの仕事をしていくなかでだんだんと、結婚式が小さくなっていったり、注文がいただけなくなってしまったりといった状況になってしまったんです。先代は、ギフトの仕事をどう存続させていくか、と悩み、葬儀の返礼品でも同じことができると考え、返礼品販売の業務が始めました。これが中央商事と葬祭業界が関わったキッカケです。
1989年には葬儀を行うようになり、現在の原型が出来上がったと聞いています。最初の頃は他の葬儀社さんの施工を請け負う形で葬儀を行っていて、かなり厳しい状況だったそうです。それから徐々に知り合い伝手に依頼をいただけるようになっていきました。
―――社長が入社されたのはいつ頃なのでしょう?
私が入社したのは、今から約20年ほど前。2001年のことでした。当時は1997年に会館ができたこともあり一気に件数が増え、忙しい時期でしたね。入社するまで私はサラリーマンで営業職をしていて、葬祭業界とはまったく違う世界で働いていました。そんな私が中央商事に入社したのは、叔父から声をかけてもらったのがキッカケです。
伯父としては、世代交代の準備をしていきたかったようなのですが、叔父の息子さんは他にやりたい仕事があり海外へ留学に行っていたため、私に声がかかりました。声をかけていただいた直後、すぐに返事はできませんでした。全く知らない業界でしたし、まだ20代だったことも大きかったですね。当時、葬祭業界に対する世間のイメージも今ほど良いものではなかったのも悩んだ要因でした。
最終的に、叔父だけでなく父からも進められ入社を決意。葬祭業界へ入ることにしました。入社して最初に伯父に伝えられたのが、「葬儀という仕事はお客さんから感謝される仕事だ」ということでした。叔父の言葉には驚きましたね。それまでの営業職では、自分自身で色々なところを回って、挨拶をして、受注して、最後にまた挨拶をしてと、相手に対して自分の立場をできるだけ低くして接することばかりでした。しかし葬儀ではそれが逆転し、お客様と同等の立場で仕事を行えるんです。
入社して半年後くらいには、一人で施行を担当するようになり「葬儀の仕事はすごく良い仕事だな」と感じるようになりました。
―――社長になられたのはいつぐらいのタイミングなのでしょう?
入社して6年目、2008年の時のことでした。そのころ先代は60代で、今後はもともと持っていた宗教法人に注力していきたいとのことで、社長を継ぐことになったんです。
私が社長になってからも、先代の時と同様、安定して葬儀の件数が入っていましたので業務面での苦労はあまりありませんでした。私が入社したころは、毎年式場を増やしていましたから、そのころにだいぶ力を蓄えていたんでしょうね。
ただ役職が変われば、関わり方も変わります。何人かの従業員はこの会社を離れていきました。
―――HPで「100件100通りのご葬儀」というフレーズを拝見しました。
「100件100通りのご葬儀」というのは、2015年あたりにできたビジョンです。ちょうど家族葬がたくさん増えてきた時期で、家族葬の価値をいかに高めていくかを追求した結果、生まれました。祭壇にモニターを置いて、思い出を流すようにしたのもそのころのことです。色々なことが変わっていった時期だったんでしょうね。
「100件100通りのご葬儀」というビジョンは、会議や配布物を通して社員に伝えています。社員たちにお客様のよく話を聞いて、要望を聞き出すことを徹底してもらうことで、「100件100通りのご葬儀」を実現しているんです。
ただ「100件100通りのご葬儀」の策定は、お客様や社員、売り上げへの影響より、自分自身にとっての意味が大きくありました。というのも会社を継いでから引っかかっていたのが、先代からいただいた「自分のカラーを出さないといけない」という言葉でした。その言葉に対して、自分は何をしていか、どう変えていかなくちゃいけないかをずっと考えていたんです。
それまでも「法要殿」といった葬儀ブランドを打ち出したり、ビジョン・ミッション・バリューの策定など行っていたのですが、どうにもモヤモヤが頭に残っていて……。
色々な研修に参加し、考えを深めていくなかで、先代のいう「自分のカラー」とは、自分自身のことなのだと気が付きました。会社を通して自分の想いをどうやって形にしていくか。それが先代が言っていた「自分のカラーを出さないといけない」の意味だったんです。
そうして自分自身の理想とは何か、それをどう追い求めていくか、曲げずにやっていかなくちゃいきたいものは何かを考え「100件100通りのご葬儀」というビジョンを作り上げたす。できた瞬間は、2代目を継いでから一番スッキリした瞬間でしたね。
―――ビジョンが出来上がってから、なにか変化はあったのでしょうか?
会館を増やしたわけでもないですし、件数もいきなり増えたりは無かったので、大きな変化はありませんでした。ただ「葬儀のクオリティ上げていこう」とは常に社員へ伝えています。
極端な伸びではないものの、毎年件数は微増していて、質の向上でそれを実現できているのは嬉しいですね。しっかり地域に根付いてきたのかなと感じています。
―――中央商事さまのこれからについて聞かせてください
現在は土地の関係などもあり式場を建てるのがとても難しい状況です。そのなかでも、しっかりと成長できるように、規模の拡大を図っていきたいですね。そのためには資金をどう使うかというマネジメント力のアップと、式のクオリティアップが必要不可欠です。
所沢、川越、飯能の3地域で展開している現状を活かし、地元に密着した葬儀社になっていきたいと思います。
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