Interview with the management経営者インタビュー

南信州でナンバーワンの家族葬の会社を目指して~㈱愛光典礼社~

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長野

2022.02.01

社会貢献/自己実現

南信州でナンバーワンの家族葬の会社を目指して~㈱愛光典礼社~

今回は⻑野県上伊那郡箕輪町に本社を構える、株式会社愛光典礼社クリスタル愛光の代表取締役・久保田様にお話をお伺いしました。

葬儀業界での経験がない中で、葬儀会社を立ち上げた久保田社長。設立に至るまでには、奇跡の連続があったそうです。波乱万丈な人生の中でも、前を向いて進んでこられた久保田社長が、ずっと大事にしてきた想いやこれから描いているビジョンとは……?

創業のきっかけについて教えてください。

私はもともと、葬儀業界にいた人間ではありません。会社を立ち上げるまで、葬儀のお仕事についてはほとんど知りませんでした。また、今は長野県で会社をやっていますが、生まれ育ったのは愛媛県なんです。長野県に来たのは、名古屋の大学へ進学した後、サークルの先輩と結婚してからのことでした。

結婚してからは、アサヒビールでビールの販売や営業の仕事をしていました。結婚生活は20年ほどでピリオドを打ったのですが、その頃には3つ仕事を持っていて。その中でたまたま、葬儀社の方と出会ったんです。

当時その方は、駒ヶ根市にある葬儀会社に勤めていて、箕輪町で2番目に大きなお寺の担当をされていました。そのお寺は、その葬儀社1社だけに独占委託をしていたのですが、あるときお寺の住職と会社の社長がトラブルになってしまって。私はその方から「住職が専属を辞めたいと言っている」という話を聞いたんです。

私は軽い気持ちで「そのお寺が委託できる会社を、立ち上げたらいいんじゃないですか」と言いました。そのお寺とのお仕事だけでも十分に売上が見込めたので、会社は成り立つのではないかと思いまして。「私もトイレ掃除くらいなら手伝いますよ」と言っていたくらい、気楽な感じだったんですよ。ゆくゆく社長をやるなんて思ってもいませんでしたね。

それから、その会社の設立を手伝うために、それまでやっていた仕事を整理しました。ですが立ち上げがうまく行かず、収入源がなくなってしまったんです。その頃、私は離婚した後で、「愛媛から長野まで嫁に来たのに、私の人生って何もないな」と思ってしまうほど、どん底の気分を味わっているときでした。

葬儀社を作って人のためになっていけば、最後には「いい人生だった」と思えるかもしれない。

そう思って、私が会社を立ち上げることにしたんです。そのきっかけを作ってくれた葬儀社の知り合いは、今部長として会社を支えてくれています。

お寺には「私が社長でも専属でやらせてくれますか?」と聞いて、了承を得てから会社を作り始めました。その後、結局そのお寺の専属はさせてもらえなかったのですが、平成18年の6月に駒ヶ根市で会社を立ち上げたんです。

私には葬儀業界での経験はありませんでしたが、経験豊富な方が3人社員になってくれました。当時は自己資金もほとんどなく、経営の勉強もしていなかった。何もなかったけど、いろんな奇跡が起きて、会社ができちゃったんです。

どんな奇跡が起きたのでしょうか?

例えば、名刺を1枚渡しただけで、ケータリングの準備を500万かけて用意してくださる会社が出てきました。そこはもともとお掃除の会社なんですが、中華料理屋を1軒持っていて、ある日社長が突然「これからはケータリングをやる」と言い出したそうなんです。私が訪ねたのは、たまたまその4日後だったんですよ。

また霊柩運送についても、駒ヶ根にある車の会社の車庫に、1回も使っていない霊柩車が眠っていて、それを貸してもらえることになったんです。

本当に奇跡の連続で、葬儀社をやっていくのに必要なものが、4ヶ月くらいで全部揃ったんですよね。

それで会社を立ち上げることはできたのですが、設立してすぐ倒産の危機。「葬儀の仕事、入ってくるかな?」と社員に言うと、みんな「入ってくるさ」って言うんですよね。無鉄砲でしょう?(笑)ですが、誰も知らない会社に依頼が来るわけないと思って、私は一人で宣伝広告を始めて。それから少し葬儀の依頼が入りましたが、本当に数えるくらいでした。

そこで社員の3人に「葬儀の依頼を取ってきて」と言ったら、一人が怒って辞めてしまい…当時はぐちゃぐちゃでしたね。

それでも「箕輪に行ったら生き残れるかもね」と社員が言っていたんです。箕輪は寺葬が主流で、お寺の力が強い。そこに入って、寺葬を担当させてもらえたら、もしかしたら会社としてやっていけるかもしれないと。

そんなとき、怒って辞めてしまった社員の友人が、怒鳴り込んできたことがありました。しかし話をしていくと納得してくれて、「社長を応援する」と言ってくれたんです。その方に、「箕輪で一番大きなお寺と話をしようと思っている」と話すと、「お寺の人とゴルフ友達だから段取りをつけてあげる」と言ってもらえました。

そうして、お寺の方に話をしに行くと「箕輪町に来たら葬儀を入れることもできるけど、どうする?」と言っていただいて。なんとか資金を集めて、箕輪町に引っ越しました。それからはお寺の掃除から雑用までなんでもやりながら、少しずつ葬儀を担当させてもらえるようになり、周りのお寺からも認知してもらえるようになったんです。

会社の経営が安定したのはいつ頃ですか?

本当に最近です。経営学も勉強していなかったのに、10年くらい前にいきなりホールを立てたんですよ?(笑)無鉄砲なことをずっとしてきたんですよね。

ですが5〜6年前、返済が滞ってトラブルになり、どうしたらいいか分からなくなったことがあって、コンサルをお願いしました。担当の方には「こんなに原価率の悪い葬儀社は初めてです」と言われてしまいましたね。やればやるだけ赤字になっていたので、プランを作り直しました。総合的にコンサルをしてもらってから、ようやく安定してきたんです。

最近、融資をしてくれている銀行の方にも「やっと会社らしくなりましたね」と言ってもらえました。3年前には、創業時に専属になれなかったお寺の専属にもなったんです。コロナの影響で売上が落ち込んだこともありましたが、今は取り戻せてきています。

最近まで大変だったとお伺いしましたが、ここまでどんな想いで走ってこられたのでしょうか?

一番初めに作った会社の理念が「葬儀を通して人々に癒しと心の幸せを提供していきたい」というものでした。それから少し考え直して、今は「全従業員の幸福を追求すると同時に、葬儀という仕事を通してその家族、そして地域の希望の光になります」という理念を掲げています。

会社というのは、従業員みんなの幸福も考えて経営していかないといけないなと。会社を設立したときより、責任感が強くなりました。今、息子や娘も含めて5名ほど社員がいるのですが、ほとんど30代なんですよ。やはり社員のみんなには幸せな人生を送ってほしい。それを形にできるような会社にしていきたいですね。

会社を設立してから3年や5年で落ち着くことができたら良かったのですが、ずっと前を向いて走るだけで精一杯でした。何度も「こんなに大変ならやらなきゃよかった」と思う日々。経験も基盤もない状態から、よくここまで生き残ってこれたなと思いますね。本当に大変でしたが、波乱万丈だからこそ出てくる味や面白みもあると知りました。

また、葬儀という仕事をする中で、様々な人の人生や考え方と向き合ってきました。死に様を見ると生き様が見えてくる。葬儀をさせていただくことで、生き方の勉強になりましたね。この仕事をするようになってから、人生というものをより深く捉えられるようになりました。

愛光典礼社ならではの強みについては、どのようにお考えですか?

他の地域ではパック料金というものが主流だと思いますが、この地域では明確なパック料金を提示している会社が弊社だけなんです。他社では料金が加算式になっていて、最終的にどれくらいの金額になるのか分からないところが多い。

料金が明確であることは大事な強みだと思うので、最近はその点を全面に出していきたいと思っています。

また、これまで「本当に愛光さんは感動的な葬儀をしてくれる」「ここでやってよかった」という声をたくさんいただいてきました。私の会社はまだまだ社員が少なく、全員がそこまでのスキルに達していないという成長過程の部分はありますが、もっと弊社ならではのオリジナリティを追求していきたいです。

また、私たちはこれまで、お寺の行事から結婚式まで全部手伝ってきました。この地域では曹洞宗のお寺が8〜9割なのですが、「晋山式」という襲名披露のような儀式がありまして、それを頼んでもらえることが多いんです。「愛光さんに頼めば間違いない」と言っていただけています。そういった様々な経験をしてきたので、いろんな形の対応ができるのは強みですね。

今後のビジョンについて教えてください。

今、ホールをもう一つ持とうとしているんです。最近、葬儀は家族葬が中心だと思いますが、箕輪町は独特で7〜8割は寺葬なんですよ。お寺の方も、「できればお寺でやりたい」という方が多い。ご遺族のみなさまが10名ほどのときも、弊社のスタッフが8名、お寺の方が5名というくらい、盛大な葬儀をしています。

ただコロナの影響もあり、葬儀の縮小化や寺離れ、檀家離れが進んでいくことは間違いないと思います。ですので、これからはホールで、私の会社にしかできないようなオリジナル性を持った家族葬をしていきたい。弊社はパック料金にしているので、ご遺族の方に選んでいただき、金額が明確で安心できる葬儀を、そして感動的な家族葬を提供していける葬儀社でありたいです。

実は経営手段の中に、「南信州でナンバーワンの家族葬の会社を目指します」という項目を入れているんです。「ここで葬儀をやってよかった」と言ってもらえるよう、内容の充実したオリジナリティのある葬儀ができる会社を目指していきます。

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