Interview with the management経営者インタビュー
群馬
2021.07.16
社会貢献/自己実現
本日は群馬県みどり市に本拠地を置き、葬儀式場3拠点8ホール、仏壇店を展開するあすかセレモ株式会社の正田智子社長にお話をお伺いしました。
事業承継をされ、より従業員、地域に密着し、地域になくてはならない会社を目指す、その考えの源泉、そしてこれから先に目指していること、たくさんのことをお話しいただきました。
創業当時のお話をお伺いしてよいでしょうか?
会社の創業は昭和50年。それ以前から食品の卸の仕事をしておりましたが、その年に法人化しました。スーパーが主な取引先でしたが、当時はコンビニも増えてきたころ。コンビニが増えるとなるとスーパーの仕事が少なくなるんじゃないか。そんな事情もあり、違う事業をスタートしなければと検討したのが、葬祭業とビルメンテナンス業。いろんな方に話を聞きながら最終的に決めたのが葬祭業でした。
当時は私も中学生のころです。弟は小学生。まだまだ業界のイメージも良くはない頃でしたから、葬祭業を始めるというタイミングでは、現会長である父は私達に「葬儀をやるけどいいかい?」と聞いてくれました。私達は「やりたいなら、やったらいいよ」と。父は私たちのいじめとか、結婚が難しくなるんじゃないかとも心配してくれていたようだったのですが、私達はそんなに深くは考えていなかったですね(笑)
いきなり葬儀を始められて大変だったのでは?
それは本当に苦労したみたいです。まったく知名度もない中では、たとえ花環は頼んでくれても、葬儀の依頼はいただけない。安心材料もない中では借入一つも簡単な事ではありません。あすかという名前になったのも、病院でお電話を一件でも多く頂けるようにということからです。電話帳の記載があいうえお順なので、あすかにすれば一番上に表記されるんですね。少しでもお客様に選んでいただけるようにいろんなことをやったといいます。平成13年に葬儀会館一号店となる広沢館ができたのですが、それがあって今ここまで成長させていただいたというのがあります。
葬儀を始められたころは中学生だったとのことですが、良くここまでご存じですね?
私が社長を引き継いだのが3年前になります。ただ、それは本当に突然でした。私の友達の父が急逝してしまったのがきっかけの一つだったのかもしれませんが、会長もいつ自分に何があるかもわからないと。だから少しでも早く経験をさせた方が良いと。そうなってから会長とは色々と話をするようになり、先ほどの創業のころの話も色々と聞くことができました。今の礎となっている話なので、とても良かったなと思っています。
社長になられてから大切にされていることはありますか?
会長の時代に作った理念があります。それが「大切なものは人と愛 仕事から学びお客様から学ぼう」というものです。学ぶ姿勢をすごく大切にしていて、仕事からもお客様からも常に学び続けようという想いを込めています。
私はさらにその言葉をベースに「大切なものは人と愛 感動を追求し幸せを提供しよう」にしたいと話をしました。感動は追い続けるもの、そして社員一人一人が感じながら追求するもの。それはお客様にも、そして社員にもあすかに関わる全ての人に広がっていくもの。そんな思いを込めたかったからです。まだ言葉を変えるまでには至っていませんが、そんな思いを持っていますね。
葬儀の世界は、休みが不定期だったり、少なかったり、または残業が多かったり、その業界に努めたんだからしょうがないじゃんみたいな部分もこれまではあったと思うんです。だけども、そこの残業を減らし、休みがきちんととれる体制を取ろうと。そのためにサービスの体制も変えました。その上で、お客様の満足度をしっかりと高めたい。
今では残業もほとんどなくなり、休みもとれるようになりました。新卒メンバーが入ってきて、若い人を定着させたいと考えると、やっぱりこういう部分が大事になってくるんだなと思いました。
企業って人が支えているじゃないですか。社員がいるから会社がある。働いている人が幸せを感じないと、満足できる、よりよいサービスを提供できない。採用もできない。社員が安定した精神状態を保てる、あすかで働いてよかったと思える会社をつくらないと。おきゃくさま!と言葉で言っても行動につなげられないですよね。
お客様のためにという想いが、どちらかといえば労働時間に跳ね返っていた印象もありましたが、そこが変わっているのはいいことですね。
ただ向く方向だけは間違えないように、と社員にいつも伝えています。上司の目だったり、目先のことだけ考えて行動してはいけないよと。常に、お客様の方を向いて行動してほしいですね。そうしないと、日々の仕事は作業になってしまいます。
社長が大切にしている考え方は、どういう機会を通じて伝えていますか?
朝礼では、必ず何か話はするようにしています。それでも社員の方から「もっと社長と色々話をしたい」と言われることがあります。言われるってことは、まだまだコミュニケーションが足りていないのだなと感じますね。話したいと声を上げてくれる人は、前向きで、会社のためになにかしたい!話を聞いて、どうにかしたいと思ってくれているのだと思います。それは本当にうれしいこと。まだまだ全員がそこまでは思えていないと思うので、みんながそう思ってくれるような会社にしたいですね。
将来描いているビジョンを教えてください。
地域に必要とされる企業でありたい、という想いが大前提にあります。お葬式だけではなく、地域のグランドゴルフ大会や交流イベントも積極的におこなってきました。コロナの影響で今はできていませんが(※2021年現在)、元気な時から、あすかを知ってもらって、いざというときにはお手伝いをできる関係に。この人たちに面倒みてもらいたい、と思ってもらえるようなお手伝いをしたいです。葬儀に満足してもらうだけではなく、地域活動を通じて、あすかの信用や信頼に繋がって、そこに頼んでおけば大丈夫!と地域の人たちに必要とされる、そんな企業にしていきたいです。
別の話ではありますが、今コロナの影響もあり、地域内の火葬件数に規制がかかっているんです。そうなると1週間近くご自宅で安置せざるを得ないお客様も出てきてしまいます。幸い弊社は、ご安置の設備を多く揃えているので、ご自宅ではなくお受けできるのですが、この施設を近隣葬儀社にも貸し出しています。どの葬儀社で葬儀をするかという売り手目線ではなく、お客様に目を向けて、安心してご葬儀当日を迎えてもらえるならば、その方が良いだろうと思ったからです。 弊社単独ではなく、地域全体での供養文化を継承することも大切だと思っています。
地域になくてはならない存在、に近付いていますか?
まだまだ社外にももちろん社内にも伝わり切っていないところはあると思います。こちらの想いでやったことが、違う形で伝わってしまうということがあります。それはやっぱりまだ伝え方だったり、話す量が少ないことが原因なんだと感じます。もっともっとコミュニケーションをとって、あすか一丸となって、理想の会社を実現していきたいですね。
本日はありがとうございました
<この記事を書いた人>
つむぎ株式会社 代表取締役社長 前田亮。静岡県立清水東高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。エンディング業界の立ち上げを行い、チームリーダー、グループマネージャーを得て、35歳で部長となり、BtoCサービス業全般を広く携わる。10億円未満の中小企業における「業績を伸ばす組織作り」をコンサルティング領域とする。「信念のあるいい会社」にもっと入り込んだお手伝いをしたいと2020年独立し、つむぎ株式会社を創業する。
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