Interview with the management経営者インタビュー

「心ある優しいお葬式」を目指して~(株)けやき~

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兵庫

2021.05.29

社会貢献/自己実現

「心ある優しいお葬式」を目指して~(株)けやき~

本日は兵庫県加東市に本拠地を置き、葬儀式場1か所、 相談室1か所そして飲食事業、遺品整理事業を展開する株式会社けやきの森本幸弘社長にお話をお伺いしました。

まったく知識のない状況からの創業、企業成長の中でぶつかった壁をどう乗り越えたか、またどのようにして様々な事業を展開するに至ったのか、ざっくばらんにお答えいただきました。

株式会社けやきは今年で創業何年目になりますか?

2004年に創業をしましたので、今で17年目になりますね。元々私は母子家庭の家に生まれまして、初めに就職した会社もアパレル企業。今の仕事や経営者というところは全く関連がありませんでした。

結婚を機に現在の加東市にある森本生花店に入ることになります。25歳の頃ですね。当時から葬祭部門はありましたが、式場は保有していない状況。私が30歳を過ぎた頃に森本生花店が競売にて今のけやきホールとなる建物を購入しました。

それが本格的にスタートしたきっかけになるのですね。

当時は反対していたんですよ。新しい事業を始めるというのはそんなに簡単なことではありませんし、そもそも葬儀をやるにしても司会だとか、お手伝いさんとか、いろんなルートを作らなければならない。でもそのあたりを軽く考えていたんですよね。

案の定、2年くらいは特に稼働することもなく、そのままの状態でした。しかし固定資産税は掛かりますし、何もやらないのももったいない。いろいろと議論もしましたが、最終的には私が別会社を作り、建物を森本生花店から借りる形でスタートをすることとなりました。

順調にスタートしたのでしょうか?

今けやきホールがあるの地域というのはJAさんが主流でした。3年間くらいは、「JAさんじゃないのに大丈夫か?」とお客様から声を掛けられるような状態でした。その状態なのでなかなか苦戦もしましたが、今思い出すと、その3年から5年が楽しい時代でもありましたね。

当時は会館はけやきしかないので、密葬、直葬、家族葬というようなお式の場合は、仕方なく使われるような状態。一般のお葬式は、自宅だったり、公民館を使うような状態、お客さまも加東市よりも他の地域のお客さまの方が多いくらいでした。

元々私は、53歳になったらコンサルティング会社を作ろうと思っていました。ですから中小企業診断士になろうと色々と勉強していたので、それを元に経営をしていました。つまり市場にまずは浸透させないといけないとので、低価格で、値段を抑えてお客さまに提供をしていたのです。

ですから当時はほとんど利益も出ていないかったですね。ただ名前を売ることを重視していました。そんな活動をしているうちに、他に葬儀会館ができていく中で比較対象ができてくる中で、件数もどんどん増えていくことになりました。

ずっと順調だったのでしょうか?

7年くらいたった頃に何をやっていいかどうかという迷いが出てきました。いわばネタが尽きてきたといいますか。その時に1通のDMをきっかけにコンサルティング会社の勉強会に出てみたんです。良いご縁もあり、軍師のような存在ができました。

その後、どんなことに取り組んだのでしょうか?

創業8年目になった頃に他社との差別化という観点でもコンセプトが大事という話の中で「心ある優しい葬儀」という言葉を創りました。これは新たに創ったものでもなくて、実は当時の広告物に何気なく使っていた言葉です。

ただ、自分たちのお葬式を言葉にするとどうなるかと考えた時に、しっくり来たのでそのままけやきのコンセプトにしようと決めました。故人にも家族にも、そして従業員にも「優しく」あるというのは、何よりも大切にしていたものですから。

コンセプト部分に関しては、社員にどのようなことを伝えていますか?

一番遠い親戚になろうということを言っています。お客様と提供者という関係でもなく、もしくはご家族だと近すぎる。親戚というような距離感を意識しながら、お客様にサービスを提供しようと。そうしたらいいアドバイスができるのではないかと伝えています。

とはいえ、忙しくなるとどうしても仕事をこなすことが前に出てしまい、少し「優しさ」が抜けてしまうことがあるのも事実です。するとやっぱりちょっとお客様に怒られたりすることも出てくる。

そんなタイミングで改めて自分たちが大切にしていることを伝えます。うまくいかないときこそ、伝わりやすいものですからね。やはり本人が気付かないと変わらないところがありますよね。ですから伝え方や伝えるタイミングは気にしています。

もっと言えば、やはり1人1人個性も違います。得意不得意があり、活躍できる場所、任せる仕事もかわります。ですからそれぞれに対してサポートの仕方も違います。結局1人1人に対して、コンセプトのようなものも伝えていっていますね。

ほかにもされていることはありますか?

不定期ではありますが、勉強会を開いています。今会社を支えてくれている社歴の長いメンバーは、「優しさ」も十分に理解してます。

一方新しい社員が入り、段々と仕事も覚えてお葬式のサポートにも入るようになると、そこに違和感を感じる時が出てきます。若い子の仕事ぶりというよりは、ベテランスタッフから若手への「優しさ」への違和感ですね。そういったタイミングで開催するのが社長塾という勉強会です。基本に立ち戻る感じです。

自分自身も初めのうちは何もわからない状態でした。末期の水とか、枕経など。当たり前に使うような言葉も全然わからなかった。みんなそんな状態からスタートするわけです。それを改めて若いメンバーにも、そしてベテランにも共有することで改めて「優しさ」を考えるようになれば良いなと。

創業してから成長を続けていく中で、組織の壁を感じた頃はありますか?

自分の想いが直接届くのは8人くらいまでだったかなと思います。それくらいまでは、普段の仕事を通じて自分の考え方を共有できるのですが、それ以上になると勉強会等を活用して、定期的に声を届ける「機会」をつくる必要性を感じてきましたね。

これからのビジョンはどのように考えていますでしょうか?

この地域というのは非常に葬儀に関しては手間のかかるシステムになっているんですね。ですから他エリアから葬儀は参入してきにくいエリアでもあります。市街化調整区域も多いし、仕組み自体が違う。それは結果的には助かっている部分もありますし、一方で自分たちもエリアも広げにくいということもあります。

2年前からスタートした料理事業も何かのメッセージかと感じています。2年前、新しい店舗のために購入した建物が、実は葬儀ができない場所だとわかった。そのタイミングで料理事業をやろうと決めました。結果的に葬儀と料理を提供できる企業になりました。

数年前から始めた遺品整理事業もあり、今は葬祭関連の3事業を提供することで、オンリーワン企業になる事が出来ています。それを今後は貫いていこうと思っています。

<この記事を書いた人>
つむぎ株式会社 代表取締役社長 前田亮。静岡県立清水東高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。エンディング業界の立ち上げを行い、チームリーダー、グループマネージャーを得て、35歳で部長となり、BtoCサービス業全般を広く携わる。10億円未満の中小企業における「業績を伸ばす組織作り」をコンサルティング領域とする。「信念のあるいい会社」にもっと入り込んだお手伝いをしたいと2020年独立し、つむぎ株式会社を創業する。

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