Interview with the management経営者インタビュー
香川
2021.05.30
社会貢献/自己実現
本日は香川県東かがわ市にて葬祭業を営む有限会社河井葬祭社の取締役の水田潤様、同取締役の水田憲様にお話をお伺いしました。ご兄弟でご実家に戻られてから目の前のお客様に誠実に対応してこられたこと、そして1番を目指し成長を続けることの意味、100年の歴史の流れと共にたくさんのことをお話しいただきました。
河井葬祭社様の創業はいつになられるのでしょうか。
大正15年です。現在の社長は母で、3代目になります。創業時の話というのはそれほど聞いたことはありませんが、当時は市内にはまだ弊社しか葬儀社はなく、葬儀式場もない時代。もちろんトラックもありませんので、リアカーを引いて仕事をしていたそうです。
ただ祖父は電力会社に勤めていたそうで、家の葬儀の仕事は手伝っていなかったようです。それで嫁いできた祖母が葬儀の仕事を引き継いで仕事をしていました。そして次の世代を母が継ぎました。
当時、他に会社がなかった頃はどんな状況だったのでしょうか?
もう市内でお亡くなりになる方はすべて弊社でお葬式をされたという時代でした。ほぼ独占状態ですね。私達はまだ学生でしたが、とりあえず何をしているかはわからないけど、車に乗せられて、重たいものを運んでいた記憶だけは残っています(笑)。電話も常になっていましたね。
厳密にいうと20、30年前からやっていた葬儀社があったようですが、当時は本当に小さくて細々とやっていたそうです。その会社さんがだんだん店舗数も増やしていき、結果弊社のシェアが落ちてしまった。そんな中で2012年に私(憲さん)が先に帰ってきました。
以前はどこかで働いていたんですか?
神戸のオリエンタルホテルで働いていました。自分も仕事をするようになってから、その大変さも徐々に理解し、母親が毎日家で電話を受けていたり、お客様の対応をしている姿を思い出すと、助けてあげたいなと思うようになったんですね。
さらに母親が好意にしていた友人が亡くなってしまい、母親が精神的にもつらいだろうなと思っていたこともあったので、戻ることを決めました。
何年後に、潤さんは戻られたんですか?
私は弟が帰ってから半年後ですね。元々帰るつもりはなかったんですよ。堂島ロールで有名になったモンシェールの店舗で店長をしていて、大阪や名古屋にいて、仕事も人も色々充実していました。
ただきっかけは、徐々にお店も業績が悪くなり、同僚も辞めていくことが続き、弟も香川に帰っているし、実家の状況も聞いてはいたので、私も帰ることになりました。モンシェールで働く前はホテルでも働いていたこともあったので、同じサービス業として今までの経験が活かせるかなと思ったんですね。
香川に戻ってきてからは、お二人でどんなお話をされますか?
やはり会社の話ばかりですね。祖父、祖母が長くやっていた時代があり、それでいい面もありますし、一方で良くない面もあるんですよね。しっかりとしたサービスが行われていないんじゃないかとか、価格が高いんじゃないかとか、そういう話も聞こえていました。
それを何とかしなければいけないと思っていましたので、過去にお手伝いをさせていただいたお客様に、一軒一軒ご挨拶に廻りました。困ったことがないかとか、何かお手伝いできることはないかとお伺いしながら、四十九日や一周忌、三回忌のお客様にも節目に訪問していきました。最初はそこからはじめましたね。
昔ながらというのも変ですが、スタッフもいわゆる面接して採用とかではなく、同級生のおばちゃんとかなんですよね。ですから気分がそのまま仕事にも出ていましたし、サンダルで仕事したり、スタッフ同士の喧嘩も良くありました。サービスどころではなかったですね。
ただ私たちが戻ってきて気付いたことでもなく、社長も当然気にはなっていたのですが、祖父母にはなかなか強く言えなかったみたいです。その中でも自分なりに工夫をして改善してきたこともあったみたいですが、そこに私達が戻ってきてスピード感が出たとか、しっかりと形になったものが増えたというのはあるみたいですね。
社長は私たちが戻る前、12、3年前に世代交代をしていてのですが、やはり先代のパワーはあったんじゃないかと思います。それで色々とやりづらさはあったんだと。
戻ってきてから変えたことは他にはどんなことがありますか?
今から7年前のタイミングで式場の改装を行いました。そしてそのタイミングでHPにも掲載している経営理念を形にしました。社長と私たちの3人で話し合いながら、どんな会社であった方がいいか、どんな思いを持っているか、そして今後何を目指したいかと。そういったことをみんなで話をしながら作りました。元々、母親が代表を継いだ時、やはり頼る人の存在が欲しいじゃないですか。それで当時、とても親身に相談に乗ってくれるコンサルタントの方がいらっしゃって。社長にとってその存在は大きかったようです。
マーケティングとかではなく、人として、こういう思いでやることによって、どう人生が変わっていくか、
といった想いのところを大切にしてくれるコンサルタントだった。それが色々と考えていく上での基準になったと思います。
こういったお話は社員とお話しされるんですか?
不定期ではありますが、社長が社員と時間をとって1~2時間くらい勉強会みたいにやっていますね。「幸せとは?お客さんの喜びとは?」といった話をする機会を、理念をつくってから実施するようになりました。
それは採用の時にも同様です。私たちは、例えば新規で訪問してお客様獲得の営業をするようなことはせず、1件1件のお葬式に想いを持って仕事をすること、それはなぜなのか、そういった私たちが大切にすることは伝えるようにしていますね。
河井葬祭社らしいなと実感するご葬儀のエピソードはありますか?
他の葬儀社さんとお話しすると、全件お客様のところを廻ったという話はすごいねといってもらえます。やはりやってきて良かったなと思いますね。そして私達だけでお葬式が完結することもなく、祭壇のお花やお化粧をしてくれる方、棺を作ってくれる人、様々な企業さんに支えられて、私達はお客様の前に出られているので、そういうところは大事にしけたらいいなと思っています。
あとは、弊社らしさでいえば、宣伝広告費を全くかけていないところですね。一つ一つの式を大切にし続けて、しっかりと依頼件数を増やせていけているのは弊社らしい部分なんじゃないかと思っています。一件のお葬式に出来る限りのことをして、そこから広がっていく、というのを実感しています。今でも、何年前のお葬式した〇〇ですと、過去のリピーターからの施行の依頼があることも多く、地縁というのも感じますね。
普段から、お客様のところにはよくお伺いするのですか?
そうですね。お葬式後も四十九日、初盆、お彼岸、一周忌、三回忌と。本当にご挨拶に行くという感じで、何か商品の案内をするわけではないんですが。全件やるとなると数も多いのですが、社員全員で協力してやっています。そこは基本のところとして大事にしていますね。
三回忌となると、お葬式もだいぶ前のことかと思うのですが、お客さんはどんな反応をされますか?
こんなことまでしてくれるんやなと言っていただけますね。そこで、色んな話ししてくれますし、困った話もきくし、そこから生れた商品もあります。その時にいただける感謝の言葉は、嬉しいですよね。
今後、河井葬祭社として目指しているところはどこでしょうか?
やはり会社は大きくしたいと思っていますが、一億円の規模の会社と10億円の規模でできる会社ちがうなと思うんですね。従業員数も違うし、出逢う人も多くなります。入ってくれる人の数も違うし、そうなるとより多くの人の成長をサポートできる。それで自分も色んなこと学べますし、だからこそチームとして大きくしていきたいというのがあります。
これは私たちのプライドでもありますが、市内ではサービスがリバーホール河井が一番でないといけないと思っていますので、弊社で沢山の人に葬儀をしてもらえるために一番にならないといけないと思いますし、僕らと触れるお客さんが多いほど、幸せを届けられる数も増えると思っています。それが実現出来たら、幸せが広がるんだと思っています。
<この記事を書いた人>
つむぎ株式会社 代表取締役社長 前田亮。静岡県立清水東高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。エンディング業界の立ち上げを行い、チームリーダー、グループマネージャーを得て、35歳で部長となり、BtoCサービス業全般を広く携わる。10億円未満の中小企業における「業績を伸ばす組織作り」をコンサルティング領域とする。「信念のあるいい会社」にもっと入り込んだお手伝いをしたいと2020年独立し、つむぎ株式会社を創業する。
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