Interview with the management経営者インタビュー

最愛の人が亡くなられたときに、力になれる存在でありたい~合資会社マルイチ葬祭~

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長崎

2021.05.30

社会貢献/自己実現

最愛の人が亡くなられたときに、力になれる存在でありたい~合資会社マルイチ葬祭~

長崎県島原市で地域密着型の経営により市内シェアトップに浮上した合資会社マルイチ葬祭の森本久浩社長に、会社経営において大事にされていることをお伺いしました。軸を持った経営をされながら、徹底的にお客様に尽くすその姿勢が、シェアトップという結果につながったのだと感じます。

会社の歴史からお伺いしてもよろしいでしょうか?

創業は1909年、手作りのお線香を製造する会社でした。お線香という商品も今では当たり前のようにどこでも売っています。そういった波に抗うことはできませんでした。徐々に大手にシェアを奪われていく中で、80年代に入り葬儀の仕事をスタートしました。

私は当時大学生。学校の先生になってサッカー部の顧問になりたいという夢もあったのですが、父親が体調を崩していたということもあり、結局大学卒業後にすぐに実家に戻ることになります。

とはいえ、当時はお客様からの信頼も何もなかったと思います。今でも覚えているのが、1991年に起きた雲仙普賢岳の噴火。火砕流によって40名もの人が亡くなりましたが、その時に私たちがお手伝いさせてもらったお葬式はお1人のみ。それがまさにその当時の信用の大きさなんだと痛感しました。

まったく葬儀という業界がわからない状況からスタートしました。今思えば考えられませんが、ジーパンで祭壇を組みに行ったり、わからないことは逆にお客様に教えてもらうなどして何とか仕事を覚えていきました。時には叱られることもありましたが、それでも費用は良心的に、誠意を持ってお手伝いする、そこだけはブレずにやり続けてきました。

その考え方は葬儀をはじめた頃からずっと変わらないもので、昨年島原ではシェアがトップとなりましたが、その原点はここにあると思っています。

「全員守備・全員攻撃」を掲げられていますね。

元々私自身、ずっとサッカーをやっていました。チームの在り方として、ベースになっているのはサッカーですね。全員で守って、全員で攻撃。つまり、全ての仕事が全ての人ができる状態を目指そうと。

全員ができるというのは、例えば担当業務とかそういった話ではありません。いわゆるお客様との接点を持つコアな部分を徹底して磨く、そういったことですね。お客様をなるべくお名前でお呼びする、お待ちいただいている方がいたらすぐに珈琲をお出しする、気が付いたらお声がけする、そんな些細なことでも全員がしっかりできていれば大きな力になります。

だから、ここは「全員」が大事なのです。

そして「守り」ありきであることもも大切にしています。守りが先に来るというのは、つまり、本業に集中するということ。葬儀に関わらないこと以外は絶対にやらない。自分達がしっかりと価値を提供できるところで勝負をするということです。

やはりアウェーで勝負するのはとても力のいる事です。一番は自分達が強い地域をしっかり作り、そのお客様を固定客、ファンのお客様をしっかり育てることです。

2019年に家族葬ホールを建てられました。

しっかりと足元が固まってきたので、まさに「攻める」タイミングとして、家族葬ホールを建てました。とはいえ、先ほども言ったようにいきなりアウェーの地域に行くことはありません。自分達の強みを活かせる地域に、新たなサービスとして家族葬ホールを作った形です。そのおかげもあって、2019年の件数が着実に伸びたのだと考えています。

単に綺麗な会館を作ればお客様が来るといった時代ではないでしょう。しっかりと足元を固めながら徐々にエリアを広げる。これをしっかりとやっていけば、大手が来たとしてもそんなに心配することもないだろうと思います。

社長にとって売上や件数ってどんな意味を持ちますか?

葬儀の件数というのは、お客様から頂く通信簿のようなものだと思っています。0件というのは、お客様から支持されていないと同じです。それはいらないということと同じですよね。ですから葬儀の件数、いわゆるシェアというのはとても大切にしています。売上というのはその後から勝手についてくるものですよね。

営業活動というのも弊社ではほとんどやっていません。広告等でお客様に来ていただくというよりは、足を運んでくれたお客様に徹底的にサービスすること。そういうところにお金を使うのではなく、少しでも低価格で提供し、お客様に喜んでもらいたいなと思っています。

社長の想いは理念として言葉になっているのでしょうか?

「愛をすべてのお客様へ、そして社員全員のために捧げ、社会へ貢献いたします。」
という経営理念として掲げています。

形にしたのはもう20年も前のことでもあります。自分流で経営をしていても、やはりいろんな悩みも出てきます。セミナー等受けに行く中で、経営には必ず理念が必要だと考えるようになりました。会社がどんな方向に向かうのか、明かりを灯す必要があると。

自分だけが幸せになればいいのか、そうではないですよね。そこには社員という存在もいます。社員がいるからお葬式ができる。さらに地域の人に支えられて私達は存在する。だから地域に住んでいる皆さんの最愛の人が亡くなられたときに、力になれる存在でありたいと、そんな思いを言葉に込めました。

ただ、この言葉がどこまで実現できているかと言えば、それはまだまだだと思っています。もっともっといい会社になって、いずれは従業員が自分の子供たちを、この会社に入れたいと思える、そんな会社になっていきたいですね。

<この記事を書いた人>
つむぎ株式会社 代表取締役社長 前田亮。静岡県立清水東高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。エンディング業界の立ち上げを行い、チームリーダー、グループマネージャーを得て、35歳で部長となり、BtoCサービス業全般を広く携わる。10億円未満の中小企業における「業績を伸ばす組織作り」をコンサルティング領域とする。「信念のあるいい会社」にもっと入り込んだお手伝いをしたいと2020年独立し、つむぎ株式会社を創業する。

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