Interview with the management経営者インタビュー

目の前のお客様に一生懸命向き合い続ける~ソシオあすかグループ~

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福島

2021.05.30

社会貢献/自己実現

目の前のお客様に一生懸命向き合い続ける~ソシオあすかグループ~

今回は福島県いわき市に拠点を持ち、「葬儀の重たいイメージを変える」ことをコンセプトに様々な事業展開をされているソシオあすかグループの藁谷(わらがい)様にお話をお伺いしました。

社員からの大反発を受けながら社長に就任し、次々と社員が辞めていく苦境に直面しながらも様々な事業展開を続けて「このやり方で間違っていなかった」と自信を持ち続ける藁谷様。創業から変わらない「お客様の心に寄り添う」経営で地域の皆様から信頼される企業へと成長したストーリーをお伺いしました。

始めに、御社の歴史をお聞かせください。

設立は平成10年、私が34歳の時に2代目として社長を引き継ぎました。葬儀屋を継ぐ前は、経済産業省の外郭団体にいて、競輪場の審判員をしていました。正直、昔から「葬儀屋なんて絶対に継ぐもんか」と思っていたんです。夜中に電話が鳴って起こされて、病院に向かう両親の姿を見て、葬儀の仕事に良い印象を持っていませんでした。

ある時、父が代表をしていた頃の社内の様子を見る機会があり「こうした方がいいよ」「これやった方がいいんじゃない?」と伝える機会がありました。それを機に、色々と両親から頼られるようになってしまって。

前の仕事が自分の性に合わず、今後の仕事をどうしようかと考えていたタイミングも重なりましたし、ずっとこの仕事をしている両親の力になりたいと思い、家業に戻ることになりました。

社長を引き継ぐ上で、大変なことはありましたか?

この会社に入ってすぐ、社長代理からスタートし、3年後に社長になりました。父のやり方に賛同していた社員ばかりでしたので、私の就任は決して歓迎されるものではありませんでした。古いものを大事にし続けたい社員と、変えていこうとする私とで、何度も論争が起きました。

最初に見直したのは、財務面。葬儀のプランで設定されている料金に対して、なぜその料金なのか、当時の社員は誰も説明できなかったんです。私から見ると明らかに料金が高すぎる印象で、説明できないのにお客様から大切なお金をいただけないと思い適正な価格に変更しました。

お恥ずかしい話ですが、業務時間に自身の仕事をせず、趣味に興じている社員がいました。「お給料もらっているんですから、仕事しないとだめですよ」と注意をしても、返事は「父から言われたことがなかったから」とのこと。そんな姿勢で仕事を任せることはできませんので、給料を削減していきました。

反発が募っていき、私の新しいやり方に賛同できず、次々の社員が辞めていきました。社長代理から改革に取り組み始め、私が社長に就任したころには5人いた社員が1人だけになっていました。父のやり方には限界が来ていました。

当時の従業員からは猛反発を受け続けましたが、幸いなことに父を含めて家族は私のやり方に一切口出しすることはありませんでした。新しい取り組みに対して、お客様からの喜びの声は徐々に届いていましたので「このやり方でまちがっていない」と自信を持ち続けることができました。

葬儀社さんが、散骨を自社で行われたり、ロボティクスや電気通信の事業に取り組まれるのは珍しいですね。

海洋散骨は、大学時代に遊ぶのが目的で取った船舶の免許がきっかけでした。趣味で水上バイクに乗るくらいで、それまではあまり免許を活用していませんでした。2011年に東日本大震災が起きて、あるお客様から「藁谷社長は、船操縦できるんだよね」とお声がけをいただきました。

「俺が死んだときは、海に骨を撒いてくれないか」というご依頼。ご親族のお墓もあるのにどうして、と最初は思ったのですが、話によるとご家族の皆さんのお墓が津波によって流され、海のどこに行ったか分からず見つからなくなったそう。

「もう一度、家族と一緒になりたい」という、お客様の願いでした。元々、散骨に対して抵抗感があったのですが、お客様の思いに心を打たれて一級の船舶の免許を取り直しました。事業化したのは3年前からです。

ロボットの導入も、東日本大震災がきっかけでした。津波の被害により、何百人もの方が亡くなりました。ご遺体を運ぶ手段がなく我々葬儀社が「頑張んないといけないだろう」ということで、熱を入れました。地域の方々からは感謝されたものの、ボランティアでの過酷な労働と、放射線を浴びる危険に晒される毎日に遂に限界が来てしまい「もう続けられません」とたくさんの社員が辞めていきました。

残念ではありましたが、評判が良くなって有難いことに仕事は入ってくる。色々な形で人材の採用を試みましたが、うまくいかなかったので、ロボットの導入を決めました。会館の受付にロボットに立ってもらったことが評判になり、他の会社さんにも興味を持ってもらい介護施設へのロボットの導入のお手伝いもさせてもらいました。

より生活に密着させたものを、ということで、ロボティクス事業から格安スマホなどの通信事業にシフト。
2020年の7月に独立しました。

小さい葬儀社ならでは、目の前のお客様に一生懸命に真正面から向き合うのがうちの原点。一つひとつのお声に対して、どうすればクリアできるのかを誠実に考え続けて形にした結果色々とできるようになりました。

藁谷社長が、経営をする上で大切にされていることは?

「お客様の心に寄り添う」という経営理念は、昔から変わっていません。お客様がどうしたいのか、徹底的にヒアリングを必ずして葬儀を行います。効率は悪いかもしれませんが、着実な取り組みのおかげで、営業活動を無理にすることなくリピーターとなってくださるお客様に恵まれています。

「やろう!」と思った時に、すぐに体が反応できるようなスピード感も大事にしています。葬儀のやり方が、時代の流れによって変わりますし、お客様に合わせた寄り添い方を柔軟に変えていく必要があります。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

コロナの影響で、あたりまえの葬儀のあり方が色々と変わり、葬儀業界自体が今後どうなっていくのかも分かりません。当社も今まで通りのやり方が通用しなくなるかもしれませんし、お客様が望むものに合わせて、我々が変化していく必要性があると考えます。

変わっていく葬儀のあり方に、どれだけ対応していけるかどうか分かりませんが、変わる方向に従って組織の雰囲気や士気を合わせていく力が問われていると思います。

間違いなく言えることは、目の前のお客様に一生懸命向き合い続けることができたから我々は今生き残っているということ。お客様の声に耳を傾けること以上に早い話はないと思うので、今後も我々らしさを大切にし続けていこうと思います。

<この記事を書いた人>
林 将寛 https://twitter.com/masa_884884
レバレジーズ(株)にてキャリアアドバイザー、(株)LITALICOにて家族支援への従事を経て、ライフコーチとして独立。
主に対人支援職者や若手キャリア層に向けて、パーソナルセッションを提供。
つむぎ(株)ではライティングパートナーとして、toB向けのインナーブランディング支援や経営者へのインタビュー・記事執筆を行う。

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