Interview with the management経営者インタビュー

供養の価値をお客様に伝えていける存在になりたい~(株)太田屋~

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長野

2021.06.18

社会貢献/自己実現

供養の価値をお客様に伝えていける存在になりたい~(株)太田屋~

今回は長野県に拠点を持ち、葬儀、仏壇、墓石といった供養産業をトータルで提供する株式会社太田屋・代表の太田様にお話をお伺いしました。

供養を通じてお客様に伝えたい価値、供養をサポートすることは未来を切り開く仕事であるとお話する太田様。コロナを期に改めて自分たちの事業を見つめなおし、やるべきことを見定めることができた同社。これからも大切にするその想いをお話しいただきました。

ー創業はいつになりますでしょうか?

今年で96年目となります。創業は私の祖父ですね。いろんな仕事をやっていたと聞いていますが、最後にたどり着いたのがお葬式ということだったようです。

当時は誰もやりたがらない仕事ではありましたが、そんな中でも目の前の仕事に取り組んできた結果、ここまで続けることが出来ました。

昔はお葬式と言ってもセレモニーホールはありません。自宅や公民館、あるいはお寺といった場所で行っていました。そういった場所でお葬式をさせていただく際に、葬具一式のお貸出しとか、花環の貸出しとかをしていましたね。この地域では今でもわずかながらに花環が出たりはするんですよ。

ーお仏壇もはじめられたのですね?

葬儀に関連する事業としてはじめました。やっぱりお葬式をしていただいた方の中には、仏壇とか仏具をお求めになる方も増えていらっしゃったので、であれば私たちの方で提供できるようにしようと。そこから葬儀と仏壇の2本柱で展開を進めてきた形です。

ー社長が会社に戻られたのはいつでしょうか?

ちょうど弊社が初めてのセレモニーホールを建てた少し前ですね。平成4年の頃だったかと思います。その後セレモニーホールの出店が続き、また異業種への展開という流れになりました。

今回コロナのことがあり、だいぶ事業を絞り込んでいるタイミングではありますが、私が入社したころから数年間は、葬儀事業を中心に、仏壇、墓石、そして日常生活に携わる商品サービス提供まで広げていきました。例えば飲食ですね。もちろん法事関係で仏事とは切り離せないものではありますが、宅配事業やレストラン事業などまで広げました。

ー事業を絞り込んでいるというのは?

やはりコロナの影響で厳しい状況がありました。そんな中で改めて自分たちの強みを考えたんです。

ご葬儀を通じて生まれるお客さまとの関係性はすごく強いのですが、一方で宅配やレストランではその関係性を築くのがなかなか難しい所があります。やはり私達は、繋がりをより太くするような、そんな事業に集中したほうが良いのではないかと考えました。その結果、飲食部門を他社様に委託するという形で、自分たちがやるべきことを集中させたのです。

ー社長に就任されたのは、入社後10年ほど経った頃ですね。

平成21年に3代目として就任しました。事業承継はスムーズだったかと思います。父とはしっかりと話が出来ていましたので、45歳の頃に父から社長を引き継ぎました。

ただちょっとした難しさはありました。特に様々な業種を展開していった時期なので、私自身が直接現場を経験したことがない仕事は、そこで働く人の考え方や想いの深い部分までを理解するのが難しかったです。会社の中で一生懸命やって下さっている皆さんが、日々の中で喜びにしていることは何なのだろうと。

そういったところの実感がつかめない中での事業承継については、非常に悩んだところではありました。それはずっと頭の片隅にあって、それが今回の事業再編にもつながったのではないかとも感じています。

ーやはり供養業界に対しての思い入れが強いのですね。

私はずっとご葬儀であるとか、お仏壇やお墓であるといった供養業の仕事をする家に生まれ育ってきました。その中で無意識のうちに、この仕事の持つ価値だとか意義を感じていたのだと思います。そしてそれを誇りに思っていました。

葬儀社の家に生まれた方ならば経験がある方もいるかもしれませんが、子供の頃は周りからあまりよく言われないこともあったんです。ですが、この家庭環境を嫌と思ったことはありませんでした。

親の背中を見ながら、葬送だったり、供養というものが持つ意義をきっと子供心に感じてきたんだと思うのです。

ですから、これはきっと将来にわたっても世の中が変化しても、どこかで自分自身が手放すことはないだろうと考えています。

ー経営理念はいつ頃つくられたものですか

これは私が会社に戻ってくる前にできていますね。「限りなくその先」という言葉ですが、我々は供養業界以外の仕事はほとんどしてこなかったわけです。その仕事の持つ価値や意義を商品・サービスの提供を通じて、そして私どもの社員一人一人の行動を通してお客様に伝えていくこと。それが如いては、世の中の良い発展につながるんだと。

ですから目の前の仕事だけではなく、その先を常に意識した仕事をしたいと思っています。

ー太田屋しあわせ三訓も同じ時期でしょうか?

これはもう少し後に作られていますね。これは、今思うとうまくできているなと思っています。これはお仏壇の飾り方でして、まず真ん中がご本尊。そして左右にそれぞれの宗派の開祖だとか中興の祖というのを飾るのですね。

三訓の真ん中にある言葉「皆でしあわせ目標の実現」というのは、一人一人が最終的に、あるいは会社全体としても、仕事を通して最終的に目指すところは何かと考えた時に、やっぱり幸せだよねと。それがご本尊にあたるものです。

向かって右側にある「できるできる必ずできる」という言葉は、幸せ目標を実現するための行動目標を、そして左側にはその為に必要な姿勢としての「素直な心で自己革新」という構成になっている。

真ん中の一番皆さんが目指すべき物事を、そこに少しでも近づいていくために考え方と行動の仕方というのを両方に据えてあるんだよという言葉を父からもらった時には、なるほどなぁと納得したものです。

ーこれらはどのようにして社員さんに伝えているのでしょうか?

入社の段階で私の方から解説をしたり、OJTの中で話をしています。採用の段階でも伝えますね。仕事を通じて、その価値や存在意義を理解してもらえると、それが実感できた方というのはやはり長続きもしますよね。そして日々の仕事の中で自分自身の成長や将来の幸せだとかも考えらえるようになります。ですから、採用の段階では、葬儀の仕事はそういった未来を創れる仕事なんだよという話をしています。

ー供養の価値はどのようにして社員さんに共有していのでしょうか?

最近特に強調していることが2つあります。一つはグリーフワークです。もう一つが一隻眼という言葉。

供養というのは亡くなられた方のためにあることはもちろんですが、私が常々伝えているのは残された方にとっての意義もものすごく大きいものだということです。

ご葬儀を行う際、最初にご一報くださるのはかけがえのない大切な方を亡くされたご遺族です。我々はそこでお客さまとの接点を持つようになります。そこからお客様のグリーフワークが始まるわけですよね。そのサポートをするために、弊社の商品やサービスがある。そして人がいる。我々の言葉遣いから立ち居振る舞い、行動、そのすべてがお客様へのグリーフワークにつながるものです。

かけがえのない大切な方と一緒に生きてきたご家族が、その時に抱える死別の痛みとか悲しみ、そういったものを時間をかけて受け止め、受け入れていく。新たな存在として、それぞれの人の心の中に刻み込んでいって、それがその後の人生において自分達を見守ってくれる存在となってくれる。

そういったプロセスに寄り添うことが供養の価値であり、私たちの仕事だよということを伝えています。

ー一隻眼というのは、どういう意味なのでしょうか?

一隻眼とは、仏教用語で自分を外から見つめるもう一つの目ということです。これは心の目のようなもので、自分自身を外から見つめる目があるといいます。

私は、その目が亡くなられたかけがえのない方のことだと思っています。その方が自分自身の心や体の中に新たな存在として刻み込まれていく。

お仏壇やお墓にも手を合わせるとおじいちゃん、おばあちゃんの顔が頭に思い浮かびますよね。それはつまり私達を外から見守ってくれているということなのだと思うのです。

これこそが私は一隻眼だと。ですから私達の仕事は、一件一件のご葬儀やその後の供養のお手伝いをさせていただく中で、皆さんの中に一隻眼を養っていただくこと、これが大きな価値であると思っているのです。

お葬式はかけがえのない大切な方が亡くなられたときに執り行うものなので、非常に残念である意味後ろ向きに捉えざるを得ないものごとではあるのですが、一方で私たちの仕事というのは本当は遺された皆様にとっては、その方々の未来に開かれた仕事なんです。今後の人生をより豊かなものに、幸せなものにしていただくために開かれた仕事であると。だからそれを1人でも多くのお客様に提供していくことが使命ですよね。

ー今後のVisionについてもぜひお聞かせください。

これから先をしっかりと描くというのはなかなか簡単なことではありません。ですが、今回取り組んだ事業再編の一番の目的というのは、もう一度本来の当社の一番強みや実績を元にやるべきことに集中していこうということだと思っています。そういう意味でいくと、少なくとも、葬儀はまだ諏訪地域でしかできてはおりませんが、供養ということに関していえば長野県全域、そして信州エリアでも展開をして、供養の価値をお客様に伝えていける存在になりたいと思っています。

そしてスタッフ一人一人が誇りをもって、そしてお客さまからも認めてもらえる、そんな状態をつくっていきたいですね。

供養というジャンルに関しても、やはり多様化していると感じます。いろんな形の供養の在り方が出てきていることは間違いありませんので、それらをトータルでサポートできることでお客さまから信頼を頂けるようになろうと。その繋がりを通して、お客様に供養の価値を伝え、そのお客様のお子さんやお孫さんに至る将来の世代にも引き継いでいっていただけるような、そんな会社でありたいと考えています。

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