Interview with the management経営者インタビュー
山口
2023.03.19
社会貢献/自己実現
今回は山口県に拠点を持ち、 “命でつながるお葬式” をコンセプトに、山口県内に複数のホールを展開する株式会社コープ葬祭の藤原様にお話をお伺いしました。
家業の葬儀を手伝うために、東京で購入した家を手放してまで、山口に戻ることを決断をされた藤原様。お客様からいただいた貴重なご意見も糧に、コープ葬祭らしい葬儀の在り方を常に模索してきました。「人が育つと、企業が変わる」ことを信じ続け、お客様想いの葬儀をお届けできるようになったコープ葬祭の取り組みに迫りますーー。
ー始めに、創業の歴史について聞かせてください。
創業して今年で39期目、先代である父が共同創業者して会社を立ち上げました。家業として兄弟と旅館業を営んでいた父は、葬儀社を作りたいという想いを持っていました。知り合いの仏壇店の人から「一緒にやらないか?」と誘われたのがきっかけとなり、この業界に足を踏み入れる事になりました。
ある時農協から「農協の組合向けの低価格な葬儀社を立ち上げてほしい」という依頼を受け、葬儀社を立ち上げることに。仏壇屋を一緒にやっていた時は専務を担い、その5年後から葬儀社の社長を父が務めました。
私がコープ葬祭に来たのは2011年。それまでは東京で家を購入し、私は専業主婦として、夫と子どもと過ごしていました。子どもが小学生になり、家を建てたばかりの1年後に、実家から「帰ってきて会社を手伝ってほしい」と電話がありました。
子どもは学校に通っているし、家も購入したばかり、そもそも山口から遠く離れた東京で結婚生活を送っている。しかし、父からそのように頼み込まれたことも初めてでしたので、1カ月かけて家族会議を開いて夫と相談を重ねました。結果、山口に戻ることを決めました。
東日本大震災の直後だったためか、なかなか家の買い取り手が見つからない。家のローンは残っている、夫は一人でアパート暮らしで、私は子どもと一緒に山口へ。会社に入ってから、辛いことや苦悩の連続で車の中で涙する日々を3年間送りました。夫に今更弱音を吐けないし、子どももいる、逃げ道も帰る場所もなく、歯を食いしばって頑張ってきました。
ー大変なご決断でしたね。会社に来てからの様子はいかがでしたか?
入社するまでに、関東で専門学校での勉強と、葬儀社での修行勤務をしました。コープ葬祭では、まず3年間ひたすら現場で葬儀をさせてもらいながら、財務を気にかけていました。
従業員のみんながすごく頑張って売上を出していたのに、利益が伴っていない。父の人脈のおかげでこれまで資金を工面してきましたが、私が社長を引き継いで、銀行の方と関係を築くことができなければ、資金を調達できずに会社は倒産してしまう。財務の勉強を必死で行いながら、私たちが行っている葬儀が、本当にお客様にマッチしているのか見つめ始めました。
コープ葬祭の葬儀の葬儀の仕方を見つめ始めた頃、あるお客様から大きなご意見をいただきました。お客様に満足いただける葬儀をご提供できなかったことが原因でお怒りになってしまいました。せっかく期待をして依頼いただけたにも関わらず、ご満足いただけなかった。私達はお詫びすることしかできませんでした。ですが、お客様はとしては謝罪ではなく、なぜそのような葬儀になったのかご説明を求めてらっしゃった。ご説明ができず謝罪しかできなかったことをもどかしく思いました。
私が1年かけてそのお客様とお話を重ね、命日にはお花をお持ちし、心を尽くしたことで「本当に充分やってもらったよ、あの時あなたがちゃんと説明してくれてよかった」とお許しいただきました。この出来事がお客様に対する接し方、お葬式に対する考え方を変えていく大きなきっかけとなりました。
私たちはお客様が本当に望んでいることを、どこまで叶えようとすることができていたのか。儀式を提供するだけではなく、ご家族様が集う空間を通じて、お別れの時間の気持ちを共有すること。儀式を商品にするのではなく、絆を結び合わせるような時間を提供できるようになろうと動き始めました。
ー葬儀を変えるために、どんなことに取り組まれたのですか?
当時の社長に頼んで、年に2回あった社員全員が集まる全体会議にて、5分間私に時間をもらうことになりました。同じ会社の社員同士のはずなのに、別のチームへの悪口や不満が飛び交い、雰囲気は険悪。この組織から、いい仕事が生まれてるとは言い難い状況でした。
みんなで認め合うことから始めないと、気持ち良く働けない。そう思い、コープ葬祭が大事にしたい葬儀の在り方を話したり、時には社員同士の絆を深めるために全員で握手し合う時間を取ったりしました。他には「○○さんのいいところは?」と約60人の社員から声をもらい、全員分のメッセージを私が打ち込み、「これがあなたの魅力です」と伝わるようにプレゼントしました。こんな取組を少しずつ、重ねていきました。
2年程前からは朝の時間を活用した勉強会を行い、WITHというプロジェクト名で、私たちがしたいお世話の在り方を意見交換をしています。「メモリアル・オリジナル・お節介」の3つをWITH活動で大事にし、喪主さんだけでなく家族様全員にスポットライトを当てることを目指していく。
やらずに後悔するくらいなら、臆することなくお節介ができる葬儀社で在りたいんです。故人様はどんな方だったのか、家族でどんな日常を過ごしていたのかを丁寧に聞き、その家にしかできない最後の送り方を実現できるようにWITHを続けています。
ー社長に就任されてから変化はありましたか?
約2年前に社長を引き継ぎましたが、経営周りに携わり始めてからは5年が経ちます。やることはあまり変わっていませんが、覚悟の重み、意思決定の重みを感じるようになりました。
現場での経験も長かったからこそ、みんなが一生懸命頑張って働いて作ってくれた売上を、いかに守るかは私にしかできないこと。自分たちで笑うことを選んで、乗り越えた方が人生は絶対に面白いと信じています。お客様からも新入社員からも「明るい会社ですね」と言われることが近年増えました。
理念やクレドを作り始めた当初から、やりたかったのは人創り。この仕事は「人」が生命線だと思うので、とことん人を大切に育てる企業になり、地域に貢献できるような仕事をたくさんしていきたいなと思っています。
ー最後に、今後の展望を教えてください。
人が育つと、企業は変わることをここ数年で特に実感するようになり、企業は人が創っていることを信じています。お葬式のお世話も人がしているものなので、最期を送るにふさわしい器を持った人材をコープ葬祭からたくさん育てていきたい。
仕事をするなら、気持ち良くやりがいを持って、楽しく働いてほしいと願っています。お客様に喜んでもらうことがやりがいに、楽しさに繋がる。喜びのために、仕事を頑張り成長できる、そんな会社をこれからも創っていきたいですね。
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