Interview with the management経営者インタビュー

人の心をより豊かにする~(株)会津屋~

  • Facebook
  • Twitter

新潟

2023.03.19

社会貢献/自己実現

人の心をより豊かにする~(株)会津屋~

今回は新潟県に拠点を持ち、 “人の心をより豊かにする” を企業理念に、県内に複数のホールを展開する株式会社会津屋の舩山様にお話をお伺いしました。

大変な時期に舩山社長が向き合ったのは「この会社はなんのためにあるのか、私は何をしなければならないのか」という問い。人の心をより豊かにすることに価値を見出した会津屋は、どのようにお客様と社員に幸せを届けているのでしょうかーー。

始めに、御社の歴史について聞かせてください。

創業は昭和10年、福島県の会津で漆塗りの職人を初代が務めていました。その後、家族でこの新潟の村上の地に移り住んで、仏壇の塗り直しの仕事を始めるように。本格的に葬儀の仕事を始めたのは先代の時、25年程前からになります。

25年前は、葬儀業界として会館を立てるのが主流になり始めたタイミングで、先代が市内で初の葬祭ホールを建てました。ホールを建てた当初は、月に葬儀のご依頼が1~2件しかなく、思うようにいかないスタートでしたが、互助会さんとも連携しながら徐々に地域の方々に知っていただきました。

私は次男なのですが、中学生の時に兄が他界しました。それまでは一切、会社を継ぐことが念頭になかったのですが、兄の他界を機に将来のことを真剣に考えて、学生を卒業してからは仙台の葬儀社に修行に行くことに決めました。2年の修業期間を経て、当社に戻ってきた形になります

社長交代のタイミングで、何かご苦労はありましたか?

当社に戻ってきてから、現場での経験を10年積んで参りました。2010年前後は、ホールを建てればお客様からのご依頼が来る時代で、当社の会員数やイベントへの申し込みも順調。成功を機に、我々も夢だった店舗の出店へということで、先行投資を行いました。

ところが、夢の店舗への先行投資は思うように仕事の成果に繋がりませんでした。葬儀のご依頼が伸びないばかりか、仏壇の売れ行きも思わしくない。一時は事業継続が厳しく新潟での経営を諦めようかと迷ったこともありましたが、このタイミングで先代からバトンを引継ぎ、私が4代目の社長として会津屋の再スタートを切ることになりました。

大変な時期での社長就任だったのですね。

この会社はなんのためにあるのか、私は何をしなければならないのか。改めて考えるきっかけにもなりました。この会社は舩山家だけのものではないし、社員や地域の皆さまの支えのおかげ様で成り立っていることに気づきました。

私の考えと思いの丈をA4の紙に綴り、「みんなの会社創りをしていきましょう」と社員の前で発表しました。「私はみんなの会社創りをしたかったんだ」と分かった時、胸につっかえていたものが落ちて、スッキリしましたね。

社員からしたら急な変化だったかもしれません。「みんなの社員創り」と言われても、半信半疑な社員は多かったと思います。ある種の方々に「会津屋は何人入れ替わるんだ?」と揶揄されたこともありましたから。大変な時期に会社のあり方を見直して、協力していく体制を少しずつ作っていくことが、会津屋のあるべき姿なのではないかと覚悟を決めました。

みんなの会社作りに向けて、何に取り組まれたのですか?

会社はすぐに変わらないかもしれないけれど、みんなと一緒に作っていきたい気持ちが強かったので、これまで以上に社員とのコミュニケーションを増やしました。現在社員は35名ほどいるのですが、年2回社員全員と社長面談を実施しています。

社長と会社がどのようなことを考えているのか、社員にも知ってもらう機会として方針発表会の場も設けるようになりました。社員に100%思いが伝わっているのかどうかは分かりませんが、みんなと一緒に作っていくスタンスをブラさず、コミュニケーションを取り続けることが大事だと考えています。

企業理念は、どのような背景で完成したのですか?

この理念になる前は「地域貢献」というワードが理念に入っていたのですが、正直私はずっとしっくりきていなかったんです。会津屋は目の前のお客様に何ができるのか。社員と共に何を大事にしたいのか。じっくり考えてみると、「人の心をより豊かにする」ことを価値にしていきたいと浮かび、理念になりました。

儀式のプロではなく、お別れのプロとして人の心を豊かにしていく。社員の心がより豊かになれることを第一に考え、心豊かな社員がお客様の心を豊かにできるようなお手伝いをしていく。そうすることで、「お互いに幸せになれる仕事をしていこう」と常日頃から伝えています。

社員が心豊かになることで、会津屋を卒業する社員も増えました。確かに社員の離職は会津屋の損失になるかもしれませんが、社員が成長し、やりたいことが見つかることは素晴らしいことだと思うんです。例え会津屋とは違う未来を見ることになっても、別の道を歩んでいく社員の背中を押せる存在でありたい。

いつでもおたがいさま、誰かが助け合えるような関係性を、会社で作ることを大事にしています。社員が成長して心が豊かになり、励まし合えるような社風になることで、居心地の良い職場になっていくのではないでしょうか。

最後に、今後の展望を教えてください。

当社の取り組みで、朝礼後に社員同士で最近あった出来事を共有する時間を設けています。業務上でのコミュニケーションでは決して出てこない、お孫さんが生まれた話などプライベートなやりとりが交わされます。

仕事を覚えるよりも、信頼関係がしっかりできている方が、いい仕事ができると信じているので、社員が心豊かになれるような環境作りは常に大事にしていきます。

事業を伸ばして会社を大きくすることも大事ですが、社員が会津屋と出会い、ここで働けてよかったともっと思ってもらえるように。今の社員の子どもや孫など、次の世代の人たちにとって「会津屋で働けたら大丈夫」と言われるような会社作りを目指していきます。

<この記事を書いた人>
林 将寛 https://twitter.com/masa_884884
レバレジーズ(株)にてキャリアアドバイザー、(株)LITALICOにて家族支援への従事を経て、ライフコーチとして独立。主に対人支援職者や若手キャリア層に向けて、パーソナルセッションを提供。

お問い合わせはこちら(求職者様)

CONTACT お問い合わせ

Mission Company Story~エンディングビジネス~は、
葬祭業界(エンディング業界)特化型の経営者インタビュー・転職ブラットフォーム。
エンディング企業の経営者の「想い」と、その「想い」に共感する人と出会えます。
また、葬祭業界(エンディング業界)のさらなる発展のための情報を発信しています。