Interview with the management経営者インタビュー
熊本
2021.05.30
仲間
本日は熊本県宇城市に本拠地を置き、2つのブランドで葬儀式場8会館を展開する株式会社肥後葬祭の常務取締役、越口大亮様にお話をお伺いしました。
現場、第一線でお客様対応をしていた頃から感じていた課題、経営視点として必要な取組をどのように行ってきたか、企業として目指すところも含め、お話しいただきました。
創業の頃のお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?
弊社は昭和60年に創業しました。創業の地は、現在も本社となっている小川町。ここは社長の地元でもあります。
現社長が先代から代を引き継いだのは8年前。地域密着型の葬儀式場であるアルモニーホールが4つ、そして家族葬を提案するためのさくらリビングが1つという状況でした。アルモニーホールをベースに葬儀会館を展開してきた弊社が、新しいエリアに、もっと葬儀社がなじみのある場所にしたいとの思いでつくったのがさくらリビングです。
葬儀会館は一般の方が入りにくいですよね。当然、人が集まる場所でもありませんし、葬儀があった時じゃないと入るようなこともありません。それが一般的でしたが、グリーフという観点から、同じ悲しみを持つ人、環境を持つ人が集いやすい場所、気軽に訪れやすい場所としてカフェの機能を入れて、地域に溶け込みやすい場所を選びました。
現社長が引き継がれた当時のことは覚えていますか?
葬儀会館は5つではありましたが、それが3市にまたがっていましたので、もうてんやわんやという感じでしたね。やはり移動も多いですし、やることもとても多かった記憶があります。
仕事は何とか回っていましたが、それこそなんとかという感じで、例えば今は当たり前のようにやっている広告宣伝なども、当時は仕事が落ち着いた時に考える。それで葬儀依頼がまた入り始めたら、一旦ストップする、そんなことの繰り返しでした。
今は、人数にもしっかりと余裕ができたので、休ませることもできるようになりましたし、計画的に動けているところも多くなったように感じます。
働く環境は良くなったということですね。
そうですね。それは組織力の診断をやっても数字として表れていたのでとてもよかったです。一方で課題としては、理念の浸透部分です。現在の理念である「ありがとうを紡ごう」は、現在中堅メンバーとして活躍してくれているみんなと共に形にしました。もちろんそのメンバーは今でも理解し、体現できていると感じるのですが、その後に入社してきたメンバーはその意味を理解していません。というより、伝えられていなかったのだと反省しました。
ちなみにその理念は、どのようなきっかけでつくられたのでしょうか?
私自身が担当者としてお客様対応をさせていただいた頃、当然自分としては大事にしている想いはありました。ただ、それはあくまで私個人が大事にしているものであり、会社全体として大事にしているものがあったかといわれれば、会社として明確な理念・指針などはなかったんですね。ですから、いろいろな判断が個人次第、その本人が良いと思っていれば良い、となっていました。
ただ、それは会社としては間違いなくNGですよね。ですから、会社としての指標が必要だという課題意識はずっと持っていたんです。その中で、他の地域の葬儀社さんとの交流会を通じてクレドカードを見せていただく機会がありました。「あぁこれだな」と思いましたね。
当時、弊社が掲げていた言葉はあったものの、それは大手企業から引っ張ってきた言葉。そこに自分達らしさはなかったんです。だから、そのタイミングで自分達自身でつくろうと思いました。これができれば、「間違っていること」をしっかりと軸を持って話をすることができると。
理念が形になってからは変わりましたか?
変わりましたね。今でもそうですが、何かの話をする時には、理念を判断軸として話ができています。私達は価値の提案をするのが仕事だから物売りをしないように、といった具合ですね。
一方で地域貢献に関しては、まだまだ不足していると感じています。葬儀に関わるお客様だけではなく、地域のお客さまにも「ありがとうを紡ごう」と我々は謳っている一方で、そこまでやり切れていません。それは課題ですね。
今、越口様が考える課題意識は何でしょうか?
この2、3年取り組んできたことというのは、まさに働き方の改善でした。制度もそうですし、研修等人材への投資を積極的に行ってきたと思っています。一方で、それが一方通行ではダメだと思っています。
私達経営層が「やってあげた」では意味がなく、あくまで現場スタッフにとって意味のある、価値のある制度や取り組みにしないといけません。最近、少し離職が発生していたこともあったので、そのあたりの本音を聞きたいという想いもあり、組織力診断をやりました。それで単なる研修でははなく、人材育成の中で理念の浸透も併せてやらないと、と感じていますね。
今後目指しているところを教えてください。
今後のベースもやはり「幸せな従業員づくり」になると思っています。地域にとっていい存在、なくてはならない存在であり続けること。そして地域だけではなく、会社に携わってくれた企業や人、全ての人にとって「あってよかった」といってもらえる会社創りをしたいですね。
事業を大きくしていくという過程もその一つだと思っています。今述べたことを実現しようと思えば、売上を伸ばす、利益をしっかりと確保するということができていなくてはいけません。出店するということも、働く人の環境を整えることにもつながります。出会う人、携わる人の最大化をすることで、もっともっと目指す会社の姿に近づけていきたいですね。
<この記事を書いた人>
つむぎ株式会社 代表取締役社長 前田亮。静岡県立清水東高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。エンディング業界の立ち上げを行い、チームリーダー、グループマネージャーを得て、35歳で部長となり、BtoCサービス業全般を広く携わる。10億円未満の中小企業における「業績を伸ばす組織作り」をコンサルティング領域とする。「信念のあるいい会社」にもっと入り込んだお手伝いをしたいと2020年独立し、つむぎ株式会社を創業する。
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