Interview with the management経営者インタビュー

家族、友人、地域をつなげる葬儀社へ~(株)みつわ~

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長野

2023.03.19

仲間

家族、友人、地域をつなげる葬儀社へ~(株)みつわ~

今回は長野県に拠点を持ち、“地域で一番ありがとうを言われる会社”を経営理念として、県内に複数のホールを構える株式会社みつわの代表・篠原耕一様にお話を伺いました。

元々はご家族でガソリンスタンドを経営されていた、篠原さんのお家。近しい人々とのわかれをキッカケに、別れについて悩み続け、やがて「個人にフォーカスした式を」と、地域に根差した株式会社みつわを創設しました。「スタッフはみんな家族だと思っています」と語る篠原様。家族、友人、地域の3つの輪を繋げ、故人を送り出す、みつわの想いに迫ります。

創業の頃のお話をお聞かせください

元々私の家は、父と母でガソリンスタンドを経営していました。葬儀業を始めるキッカケは、父の死にあります。父は僕が18歳の時に亡くなったのですが、その際の葬儀の記憶がほとんどないんです。思い出せるのは棺で眠る父の顔くらい。

というのも、当時の主流は自宅で行う葬儀だったので、交流のある人がたくさん家にいらっしゃって、対応したりお茶を出したりでとても忙しない状態だったんです。死を悲しんで寄り添うことも、別れを惜しむ時間もできませんでした。

その後は、父の強い願いもあり東京の大学に進学。卒業後にガソリンスタンドへ入社しました。ただその直後、今度は叔父が他界してしまったです。叔父の式は父の時と違い、葬儀屋さんに依頼しホールで行いましたが、どこかレールの上で順番通りに扱われている、流れ作業のような印象を受けました。父に続き、叔父までも別れに集中できず「人の尊厳とは何なのだろう……?」と意識せざる追えませんでした。いまでこそ葬儀業界は究極のサービス業だといわれますが、当時の葬儀業界は物販とレンタル業が主だったため、仕方のないコトだったのかもしれません。

やがて母の後を継ぎ、ガソリンスタンドの代表に就任しました。そのころにあった父の七回忌や、叔父の五年祭などの際に、彼らの生い立ちや思い出を詰め込んだDVDを製作したところ、とても喜んでもらえまして……。父の死について悩む機会も多かったため、個人を中心とした式をプロデュースしてみたいと、2005年に葬儀の会社を創設したんです。

会社の名前はみつわ。家族、友人、地域、この3つの輪を繋げるという意味をこめ、ロゴも、3つの輪が重なるデザインにしました。

自身のご経験から始められた会社さんなんですね

最初は小海町に一か所だけホールを持ち、住民の皆さんが農作業を行っていくなかをドアコールをしてまわりました。

数年たっても売り上げが思うように伸びず、落ち込む日々もありました。そういったなかでも僕らに葬儀を頼んでくれる方がいらっしゃって、その方々から「ありがとう」と感謝をいただいた瞬間に、ガソリンスタンドで働いていたころとは言葉の重みが違うのだと痛感しました。お客様にとって、人生で最悪のタイミングで出会う人が私たちです。人の尊厳にかかわる仕事なんだと、改めて感じさせられました。

地元の方々からご依頼、そして「ありがとう」をいただくためには、地元の人に愛されるようにならないといけないと感じ、「地域で一番ありがとうを言われる会社」という経営ビジョンを決めたんです。

その後はだんだんと地域に受け入れられ、「ありがとう」をいただけるようになり、次第に売り上げも上がっていきました。ちょうどそんなとき、NHKの番組でこの町が、日本で老齢化率が最も進む町だと紹介されているのを見かけたんです。情報によるとこの町は2020年が死亡率のピークが来るとのことで、もうすぐピークは過ぎてしまう。経営をしっかりと行い雇用を維持するために外に出ていく必要があると判断し、いまでは8店舗にまで店舗数を拡大しています。

スタッフさんを守る意味でも事業の拡大に踏み切った、というわけですね

スタッフへの想いも創業の経緯と同じく、私の過去に源流があります。

私は家族や親戚との仲があまり良好ではありません。特に社会人となってからは、トラブルが続き、かなり追い込まれたこともあります。

そんなときに支えてくれたのが、みつわのスタッフのみなさんだったんです。

詳しい事情は知らないながらも「社長、頑張りましょう!」と背中を支えてくれ、彼らの支えがあったから何とか折れずに頑張れた。みつわのスタッフに恵まれたから今の私があるんだなと実感し、スタッフを大切にしたいという創始者理念を打ち立てたんです。パートアルバイト、社員、分け隔てなく、大きな家族だととらえています。

みつわのスタッフは男女比3:7で女性が多い構成です。管理職もほとんどが女性。彼女たちのほとんどは、結婚や子育てで一度仕事をやめ、お皿洗いや配膳のパートとしてみつわに入った方々です。働き続けて行くうちに、居心地の良さからか社員となってくれ、今では管理職となりサポートしてくれているんです。一人いる男性役員はガソリンスタンド時代からのバイトをしてくれていた子で、みんなが仲良くしてくれていて、とても嬉しいことですよね。

職業体験にきた高校生からも「イメージと違って、明るく楽しい職場でした」と感想をいただいくこともありました。社内結婚が多いことも特徴で、ホールを使って式をあげることもあるんですよ。

地元への想いも強く持たれているように感じました

今の世の中では、お取り寄せグルメや旅行で、好きな土地の魅力を楽しんだり、体験したりできます。けれどお葬式は多くの方が地元でやられると思うんです。

家族を早い時期に亡くした私個人の想いとして、故人のお別れは、関係した人が総力を挙げて送ってあげたいなとおもうんです。一人で生まれてくるのだから、最期の時は大勢で故人を送り出してあげたいんですよね。

そのために、想い出写真館や映像で故人の想い出をふり返ってもらいながら、地酒で献杯して、地元食材を用いたお料理で会食をできるようプランを整えました。亡くなられた故人を送ることで、故人が育ってきた地域に還元ができるようになるんです。いつかは食材やお酒だけでなく、お花も地域の農家さんたちと契約して良ければなと考えています。

家族、友人、地域を繋ぐために今後はどのように活動を行っていくのでしょうか?

この先、どこの葬儀会社も小さなホールを増やしていくと思うんです。みつわとしても、ホールを増やし、エリアを拡大していこうと思っています。

エリアが広がっていくことで期待するのは、どんな新しいスタッフと出会えるかということですね。今いるスタッフたちと協力してもらって何が実現できるか?そういったことを考えるのが楽しみなんです。売り上げや業績は後からついてくるものですからね。

私たちはよくスタッフと「葬儀は、働くことと同じだよな」と話をします。おそらく多くの人が、働かなくても生活できるよ、といわれたら働くことをやめると思うんです。でも実際はそうではないから、すこしでも自分がやりがいを感じる場で働いている。

葬儀も同じなんです。誰も、葬儀と積極的に関わりたい人なんていません。でも、身内に不幸があったなら、葬式はしなくちゃいけない。そんな時「どうせやるならみつわで」と思っていただきたい。

たくさんある葬儀社から、選んでいただけるような存在になっていきたいですね。

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